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Vol.4 妹の誕生

2016.1.18

みなさんこんにちは!

2016年、申年がはじまりましたね!!
霊長類いっぱいのときわ動物園、今年3月19日に控えたグランドオープンに向けて、ますます勢いにのって頑張っていきますよ!
読者のみなさまのご来園を心よりお待ちしています。

さらにさらに、わたし一押しの美形なハヌマンラングール・ソフィーは、今年で24才。
そう、申年のサルなんです!

年女のソフィーにもぜひ会いに来てくださいね~!!

年女のソフィーにもぜひ会いに来てくださいね~!!

さて、冒頭から興奮してしまいましたが、気を取り直して、妹・サトの誕生と現在までの様子をお話します。

タラの時にはリンダが妊娠しているかどうかさえ自信がありませんでしたが、サトの時はちがいました。
2014年11月末まで、リンダとソフィーの姉妹はサミー(♂・2015年4月に日本モンキーセンターに搬出)との同居を行っていて、リンダとサミーには何度か交尾行動が確認されていました。

そして、3月中頃から、リンダのおなかが少しふっくらしてきたような…

正確な妊娠判定にはヒトと同じような検査が必要ですが、当園にその設備はなく、現状ではそうした検査ができる環境ではありません。
しかし、明らかに食欲が高まり、前年のタラの時よりも大きくなってくるおなか。

出産直前の7月1日。手を後ろについて、かなり重そうです。

出産直前の7月1日。手を後ろについて、かなり重そうです。

交尾を確認した時期を考えると、5月頃から出産の可能性が出てきます。

ということで、担当者は5月からそわそわしていたわけですが、2015年7月7日、リンダはメスの赤ちゃんを出産しました。
朝一番、出勤して出産を確認し、赤ちゃんの状態を観察。
どうやら元気な様子で、鳴き声も聞こえました。
しかし、リンダは両手で赤ちゃんの体をつかんで持ったり、頭をつかんだり。今回も赤ちゃんを抱くことができず、再び人工哺育を行うことになってしまいました。

そうして生まれたのが「サト」です。

タラよりも100gほど体重が軽く、生後しばらく下痢がつづいて体重が増えないなど、わたしたちをやきもきさせました。

タラよりも100gほど体重が軽く、生後しばらく下痢がつづいて体重が増えないなど、わたしたちをやきもきさせました。

木の葉を主食とするリーフイーターのおなかには、植物を分解するための微生物がすんでいます。
お母さんが育てる赤ちゃんの場合は、唾液などを通じてお母さんから赤ちゃんに微生物が移行しておなかが強くなり、免疫力もつきますが、人工哺育の場合にはそれができません。 そのことが下痢の原因になっているのでは?
ということで、他の動物園でリーフイーターの人工哺育をされた方にアドバイスをいただき、タラの時にはやらなかった秘策を!

『う○こミルク』!

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名前そのまま、リンダの便を生理食塩水でといてミルクに混ぜたものです。
便の量はほんの少しですが、やっぱりちょっとにおう…
でも、液体の緑色にも、ハヌマンラングールがいかに植物をたくさん食べているかが現れています。
便そのものも、サルというよりは草食動物のもののように繊維がたくさん混ざっているんです。

そんな「う◯こミルク」をサトは少し変な顔をしながら、しっかり飲んでくれました。

はじめての試みにどきどきしましたが、これが効果てきめん!
リンダが直接授乳することはできませんでしたが、サトはおなかが緩くなるたびにお母さんの力を借りてすくすく大きくなりました。
母は偉大なり!

ふにゃふにゃだった顔も、徐々にしっかりしてきて…

生後1か月

生後1か月

生後2か月

生後2か月

生後4か月

生後4か月

顔つきは凛々しく黒っぽく変わり、真っ黒な毛がまばらに生えていた体は、長く白い毛が目立つようになりました。

そして、タラの時はなかなかうまくいかなかった離乳も、順調に進んでいます。

生後半年をむかえた現在は、ミルクの量を徐々に減らし、どんどん食べるように促していきます。

生後半年をむかえた現在は、ミルクの量を徐々に減らし、どんどん食べるように促していきます。

もりもり食べる!よく遊ぶ!
人間のこどもと同じですが、遊ぶことはサルの赤ちゃんにもとても大切。

人工哺育の大きな問題のひとつは、赤ちゃんが小さな頃に他のサルとふれあわずに育つことで人間に馴れすぎてサルの仲間たちに馴染めなくなりがちなことです。
サトの場合は、1才ちがいの姉がいるので、できるだけ姉妹ですごす時間を長くするようにしていきました。

はじめはぎこちなかった2頭も、最近は追いかけっこをして遊べるようになりました。

次回はそんな小さな姉妹の関係についてお話します。

著者プロフィール

川出比香里(かわで・ひかり)

1991年生まれ 埼玉県出身
専門学校を卒業後、埼玉県こども動物自然公園でのアルバイトを経て、2012年にときわ動物園就職。偶蹄類が好きでサルは大の苦手だったが、担当になるとあっという間に夢中になり、今では3児(すべてサル)の母。

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