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Vol.25 Monkey mothers 2018

2018.6.15

みなさんこんにちは!

 

5月は母の日、6月は父の日がありますが、みなさんはご両親に感謝の気持ちを伝えましたか?(父の日はこれからですね!)
私は地元を離れてくらしていますが最近すっかり連絡無精…母の日父の日にちょっとしたプレゼントを贈って電話をするのが恒例です。

 

さて、今回は、ときわ動物園でこの春出産したサルのお母さんたち“Monkey Mothers”をご紹介!

 

ときわ動物園は、展示動物32種のうち13種が霊長類という、サルいっぱいの動物園です。
そして、もちろん種により様々ではありますが、秋に恋の季節をむかえ、ダントツで出産が多い季節は春!
今年は2種9頭のサルが出産し、母となりました。

ボンネットモンキー

トクモンキー

みんなそれぞれにドラマがあるのですが、今日はその中でも、私たち飼育員の期待と心配を一身に受けたマタニティライフを送り、はじめての出産をしたボンネットモンキーのちーちゃんのお話を。

 

ちーちゃんは、生まれて間もなくおとなのサルたちのケンカに巻き込まれて大ケガを負い、左腕を肩から切断しなければならなくなってしまいました。
0才から片腕を失ってすごしてきたちーちゃんは、ハンディキャップを物ともせずに走り回ったり木登りをしたり。本当にたくましく育ってくれました。

 

そして、まだまだ小さいと思っていたちーちゃんも、今年で7才。
ボンネットモンキーのメスは6才ごろに性成熟をしておとなの仲間入りをするので、ちーちゃんもすっかりお年頃です。
昨年末にオスとの交尾も確認され、だんだんおなかも大きくなり、出産を楽しみに待っていました。
しかし、ちーちゃんの出産には、楽しみだけでなく、大きな心配もありました。

 

片腕のちーちゃんが、赤ちゃんをだっこすることはできるだろうか?
移動時などに赤ちゃんがちーちゃんの胸から落ちてしまうのでは?

 

通常、サルのお母さんは、赤ちゃんを自分の胸にしがみつかせた状態で生活します。
「だっこ」というよりも、赤ちゃんの力が大きいのです。しかし、それでもやはり赤ちゃんを支えるように手を添えることが必要な場面もありますし、もし赤ちゃんの力が弱かったりするとお母さんの支えなしにはしがみついていることはできません。
かといって、私たち飼育員にできることはなく、「ちーちゃんがんばって…!」と、担当者だけでなくスタッフみんなが行き場のないどきどきを抱えていました。

   

そして、やってきた5月1日。
担当飼育員がちーちゃんの出産を確認しました。
しっかり赤ちゃんを抱いています!やったー!

…という感動もほんの一瞬。生まれた赤ちゃんには臍帯と胎盤がついたままで、さらに抱く位置が低く、赤ちゃんの口がちーちゃんの胸まで届いておらず授乳ができていない様子。
すぐに臍帯を切り、赤ちゃんをしっかり抱いておっぱいを飲ませられるように、一度群れから離して飼育することにしました。
群れでくらすサルたちは、群れから離れることで大きな不安とストレスにさらされることもあります。今回は、群れの中にいることで必要になる、走ったり飛び上がったりする動きが赤ちゃんを安定して抱くことの妨げになると考え、判断しました。

 

はじめは飼育員が赤ちゃんの位置を整えるようにしてちーちゃんの介助をしていましたが、しばらくするとちーちゃんは片腕で赤ちゃんをうまく抱けるようになっていきました。
赤ちゃんを抱いたまま立ち上がったり移動したりすることもできるようになったため、出産から7日後に、赤ちゃんとともに群れのなかまのもとに戻ることができました。

   

どんどん赤ちゃんとの生活が上手になっていくちーちゃんに、母のたくましさを感じます。
もうすっかり母の顔になったちーちゃんと赤ちゃんに、ぜひ会いに来てくださいね!

次回は、ハヌマンラングールの話題に戻り、4頭の夜間同居についてお話します!

著者プロフィール

川出比香里(かわで・ひかり)

1991年生まれ 埼玉県出身
専門学校を卒業後、埼玉県こども動物自然公園でのアルバイトを経て、2012年にときわ動物園就職。偶蹄類が好きでサルは大の苦手だったが、担当になるとあっという間に夢中になり、今では3児(すべてサル)の母。

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