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Vol.21 ひたすらかっこいいハヌマーンと、ハヌマンラングール

2017.11.11

みなさんこんにちは!
またまた前回から期間が空いてしまいました…反省。

ごめんなさい…
(と言っているわけではありませんが、それっぽいポーズで佇むサト)

さて、今回は、ときわ動物園のハヌマンラングールたちの近況…ではなく、ハヌマンラングールがモデルとなった「ハヌマーン神」が登場するインドの物語・ラーマーヤナのお話。
ラーマーヤナは、インドの国教であるヒンドゥー教の聖典でもあって、インドの人々にはなじみの深い物語だそうです。この中で、ハヌマーン神は主人公の王子様を助ける英雄として登場します。そんなこともあって、そのモデルであるハヌマンラングールは神の遣いとしてとても大切にされているんです。

なんて。

お客様に訳知り顔でお話をしてきたのですが、実はラーマーヤナを読んだことがありませんでした…ごめんなさい!!
ベテランの先輩から「インド版桃太郎」「インド版西遊記」と聞き、桃太郎なら読んだぞ!(西遊記は…最後まで読んでいません…)と思い、ハヌマンラングールの飼育担当なのに読もうともせずに3年が経とうとしておりました。
こりゃいかん!と重い腰を上げ、ようやっと読むことができました。

結論から言えば、インド版桃太郎…は少し遠いような気がします。
主人公のラーマ王子が、魔王にさらわれてしまったシータ姫をのもとへ向かう途中に立ち寄った猿の国で王位争いの解決し、そのお礼にと猿族の王様がサルの戦士たちを魔王討伐のために派遣します。その猿族の将軍がハヌマーン。
そして、ハヌマーン率いる猿群の活躍によって魔王を倒し、シータ姫をとりもどします。
その後も何度もハヌマーンはラーマ王子とシータ姫のために戦い、王子に加勢するほかの戦士たちの中でもとても優秀。強いだけでなく人望(猿望?)もあって、たくさんのサルの戦士たちを率いて戦うことも。

情に厚くて力持ち、まわりからも好かれている。
やや、とってもかっこいいぞ!ハヌマーン!
イケメンかどうかはわかりませんでしたが、これならモテモテ間違いなしです。

さらにハヌマーンはラーマーヤナとは別のインド神話でもサルの神の一人とされています。

インドにはこんなかんじのハヌマーン神の像が大小たくさんあるんだそうです。
大迫力!

さて、インドで誰もが知っている国民的な物語に登場するかっこいいヒーローのモデルになったサル。
そうなれば、現地の人々からとても大切にされるのも頷けますよね。

実は、現地ではそれが問題となっている地域もあるのだそうです。
ハヌマーン神への信仰心から、ハヌマンラングールに食べものを与えることが習慣となっていて、サルたちは寺院や市場に頻繁に現われて悪さ(というのも人目線の言い方なのですけれど)をすることもあり、人々を困らせることもあるのだとか。
神様の遣いとして、また、害獣としての一面をもつハヌマンラングールに、頭を悩ませているようです。

困った問題ですが、どちらも人が作り出した姿だということをよく覚えておきたいですね。

動物を大切に思うことはとてもすてきなことなのですが、信仰心からくる場合、対象を野生動物として尊重することが難しくなってしまうのかもしれません。

日本では、宗教的な信仰心から動物に食べものを与えることはあまりないかもしれませんが、観光客などによる野生動物の餌付けが問題になっている地域はたくさんあります。
動物園がお客様といっしょにそんなことを考える場でもありたいなと改めて思います。

私はインド人ではないし、ヒンドゥー教徒でもありませんが、ラーマーヤナを読みながら、インドの文化を考えるきっかけを与えてもらいました。
野生動物のことを考えるときに、その土地に根付く文化を知ってそこにくらす人々を理解するのはとても大切なことです。その、ほんの入り口に立つことができたかなあ。

美しい神の遣いたちといっしょに過ごせることに感謝して、動物たちを通していろいろなことをお伝えできるよう励みます!

次回は、今は日本モンキーセンター在住のタラとサトのお父さん・サミーの思い出をお話します!

著者プロフィール

川出比香里(かわで・ひかり)

1991年生まれ 埼玉県出身
専門学校を卒業後、埼玉県こども動物自然公園でのアルバイトを経て、2012年にときわ動物園就職。偶蹄類が好きでサルは大の苦手だったが、担当になるとあっという間に夢中になり、今では3児(すべてサル)の母。

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