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Vol.17 ハズバンダリートレーニング その2

2017.2.21

みなさんこんにちは!
2月に入り、ときわ動物園のある山口県宇部市は珍しく雪が降ったりもしましたが、春一番が吹きここ数日でぐっと暖かくなりました!

さて、それではハズバンダリートレーニングのお話をしていきましょう!
前回は、ハズバンダリートレーニングってどんなものなのか、そして体重測定がなぜ必要なの?というお話をしました。
ときわ動物園のハヌマンラングールたちと取り組んでいるハズバンダリートレーニングは、体重測定だけではありません。

 

こどもたちと行っているのは、体温測定!
体の小さなこどもたちは、急な冷え込みなどで体調を崩してしまいがち。
とくに、人工哺育で育ったタラとサトは、お母さんにだっこしてもらって体温の低下を防ぐということができません。
具合が悪そうじゃない?という時に体温が測れるようにしておくと、そのために捕まえるて怖がらせる必要がなくなります。

 

では、どんなふうに測るの?

 

ヒトのように脇や耳などでも測れないことはありませんが、より正確な体温を知るために、直腸体温を測定するようにしています。

体温計はイヌネコ用のもの。

網につかまってもらって…

アルコール綿でおしりを拭いて…

体温計がスムーズに入るように潤滑剤を塗って…

網ごしに体温計を肛門にさしこみます。
体温計をさしこむ様子はうまく写真が撮れず、ゴメンナサイ…

ミルクを飲ませていたときとほぼ同じなのですんなりこの姿勢をとってくれたタラとサト。
痛いかな?と心配しましたが、2頭とも始めたころからあまり抵抗なく体温計を入れさせてくれています。

   

そして、体重測定のトレーニングでは小さく切ったサツマイモやニンジンをごほうびとしてあげていましたが、このトレーニングでのごほうびは、うすめた砂糖水。
ホイッスルの音がOKの合図になのは変わりませんが、じっとしていてもらう今度のトレーニングでは、ずっと少しの量のごほうび(砂糖水)をあげていて、「音→ごほうびの量が増える」、「動いてしまう→ごほうびがなくなる」というルールになっています。
これを続けていくと、むずむずして動いてしまうことが多かったのが、だんだんじっとしていてくれるようになりました。

 

サルの体温は、ヒトよりも少し高めで、こどもはさらに高めと言われています。
まだまだデータは少ないですが、
タラは37.6℃~38.0℃
サトは37.8℃~38.2℃
だいたこのくらいです。

 

今は日々の健康管理のために行っていますが、ゆくゆくタラとサトがお母さんになる時に、出産日を知る目安にできるかもしれません。

 

この他にも、おとなのハヌマンラングール、リンダとソフィーは檻の中に自分から入ってもらうトレーニングをしています。

これは、これからケガや病気をして治療が必要になった場合や、他の動物園にお引越しをする時などに、不要なストレスをかけずに移動ができるようにするために行っています。

 

当園ではお客様の目につくところでは行っていませんが、ハズバンダリートレーニングは動物園で人間と一緒にくらす動物たちの心身の健康をより良くするために必要なものです。

 

しかし、だからといってトレーニングでなんでもできるわけではありません。
動物を捕獲したり保定(安全に処置をするため動かないようにおさえること)したりすることも、トレーニングと同様に大切な飼育管理技術。
どちらも大切でどちらも必要なこと。まだまだどちらも未熟者ですが、頑張ります! 

 

だいぶ暖かくなりましたが、みなさんも体調を崩さないようにしっかり自己管理してくださいね。
次回は高校生と一緒に取り組むハヌマンラングールの調査についてのお話です!

著者プロフィール

川出比香里(かわで・ひかり)

1991年生まれ 埼玉県出身
専門学校を卒業後、埼玉県こども動物自然公園でのアルバイトを経て、2012年にときわ動物園就職。偶蹄類が好きでサルは大の苦手だったが、担当になるとあっという間に夢中になり、今では3児(すべてサル)の母。

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