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Vol.10 食の好み

2016.7.16

みなさんこんにちは!
梅雨もそろそろおしまい、夏本番がやってきますね!
暑くなると無性に冷やし中華が食べたくなりますよねえ。
また、こどもの頃は食べられなかったものの美味しさがおとなになるとわかるようになったり…
食の好みって、季節や年齢によって変わってきますよね。

ということで、今回はハヌマンラングールのこどもたちの「食」についてのお話です。

リーフイーターであるハヌマンラングールの主食が木の葉であることは、以前からこのコラムでもお話してきました。もちろん木の葉をたくさん食べるのですが、それだけというわけではありません。ハヌマンラングールは食べ物全体のうち、木の葉の割合は50~60%程度で、果物や昆虫など実にいろいろなものを食べてくらすサルだといわれています。
そこで、ときわ動物園でもいろいろなものをエサとして与えています。

まずは、朝ごはん。

1

キャベツ、レタス、白菜、ブロッコリー、セロリ、ピーマン、キュウリ、もやし。
「朝ごはん」と言いましたが、これを食べ終えるのはだいたい昼過ぎです。

そしてお昼2時半ごろにもう1回。
朝と同じ葉物野菜に加えて、サツマイモ、ニンジン、ジャガイモ、トマト。

サトとタラはこの中だと、サツマイモやトマト、ブロッコリーが好きな様子。

2

意外とキャベツも好きなサト。
ちらりと見せるとぱっと寄ってきます。

野菜だけでもたくさん食べていますが、もっとたくさんの種類を与えているのが、木の葉や野草です。

3

カシ類、イヌビワ、サクラ、クス、ハゼ、クワ、カシワなどなど、様々な木の葉。
タンポポ、ヨモギ、ドクダミ、オオバコなどの、身近な野草も。

ときわ動物園では、ずっと前から木の葉や野草といった自然の植物を動物たちのエサとして利用してきましたが、これまでよりも木の葉の量を増やし、いつでも食べたい時に食べられるようにしています。

どうやら、季節によって変わる旬を見分けているようで、ついこの間まで夢中でたべていたものに見向きもしなくなる、同じヤマモモでも雄株は食べるけど雌株は食べない、など…彼女たちなりの基準があるようです。

漠然と、「やわらかい葉っぱがすきなんでしょう?」
と思っていましたが、どうやらそうでもないらしく、かたいカシやツバキの葉をバリバリ食べたり、新芽よりも成熟した葉を好んで食べていたりも。

「食の好み」というタイトルでお話ししてきましたが、実は彼女たちのはっきりした好みはわたしもつかめずにいます…
奥が深いぞ、リーフイーター。

さらに、屋外にいるときには、自然の木の葉や草花のほうに夢中です。

4

草を引き抜いて食べるのに一生懸命なサト。全然おいしそうに見えないんですけど…

5

タラはハルジオンの茎だけ念入りにかじり、花は捨てていました。

「おいしい」よりも「楽しい」なのかも?

小さな頃に食べるものが味覚を決める、母親の好みがうつるという話、ヒトでもよく聞きますよね。
ハヌマンラングールのこどもたちにとっても、きっと今がまさに好みを決める時期。
「今よく食べるもの」だけでなく、できるだけいろいろなものを手に取れる環境をつくるように心がけています。

体重は増えているか、うんちはどうか、離乳はまだか、好き嫌いはないか、ともだちと仲良くできるか…
こどものために本当にいろいろなことに気を回しながらの生活…
お母さんってのはすごいんだなあ、とサルたちとの日々のなかでつくづく感じます。

さて、次回は先日1才の誕生日をむかえた妹・サトとおとなたちの同居訓練についてお話します。

著者プロフィール

川出比香里(かわで・ひかり)

1991年生まれ 埼玉県出身
専門学校を卒業後、埼玉県こども動物自然公園でのアルバイトを経て、2012年にときわ動物園就職。偶蹄類が好きでサルは大の苦手だったが、担当になるとあっという間に夢中になり、今では3児(すべてサル)の母。

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