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Vol.12 猫たちのやわらかな時間

2013.3.23

身近なペットや動物と言えばやはり犬猫の類でしょうか。私が子供のころはよく道端で犬や猫を見かけ、時々パンなどの餌を与えたこともあります。そうしているとついつい情が移ってしまい自宅に持ち帰って飼いたくなってしまします。たいがいは親に反対されてまた野に戻されてしまうのが野良ちゃんの運命だったのかもしれません。でもそれでも野生としてたくましく生きていけた時代があったように思えます。

ところで最近、いわゆる野良犬や野良猫を見かける機会が減ったのではないでしょうか。ペットも外来種が主流になるにつれて日本を代表する野良族への愛情が薄れてはいないでしょうか。厄介者扱いを受けてしまい悲しい運命をたどる野生の生きものがいるとなるとそれはちょっと違うんじゃないかなと思うのです。

さて前置きが長くなりましたが、ある日ふとしたきっかけで野良猫なのか飼い猫なのかが判別出来なかった猫集団に出会いました。10匹ほどいたでしょうか。見るからに雑種の猫で毛の色などはまちまちで好き勝手に行動しているように見えました。見つけた場所と言うのは広大な潟の大半を埋め立ててできた干拓地なのです。場所が場所だから集団で住みやすいのでしょうか。干拓地にはいくつもの酪農が営まれており、とある酪農地界隈でいつも猫の集団を見かけるのでした。

この環境なら餌も豊富でしょう。酪農関係者が野良ちゃんに餌を与えるうちに自然繁殖し一族で住みついているのかもしれません。ただ、そんなことを知ろうとするのは野暮なように思えました。人と猫がいい関係を築いている事だけは間違いないのです。そしてそこにはやわらかな時間が流れていたのです。

頭を掻こうとするしぐさと表情がなんとも可愛らしいことか。
猫の魅力にハマりそうな撮影でした。

ある日、偶然猫の集団に出会ったのは広大な潟の干拓地でした。
ここは様々な農業用地であり田畑を始めとする様々な作物の耕作地であり、また、酪農地帯でもあるのです。

最初に一匹見つけたのだが、数えてみると総勢10匹ほどの猫が集団になり干拓地を背景に人に依存して生活している

餌をもらっているのか、それとも探さなくても家畜のえさが豊富なのか、
自然繁殖で増えるのであろうが、干拓地で酪農ともなれば野ネズミもかなり多いはず。猫と人と関わり合いはいい関係を築いていると思うのです。

兄弟、親子だろうか?ごく普通の飼い猫のように建物の陰からこちらをうかがう様子がまた可愛いい。

こんな光景はいかにも猫らしいではないですか。
おしゃれで上品な猫もまた可愛いのですが、こんな野性味がたまらなくいいものです。

微笑ましい様子がほんの一瞬でしたがファインダーに飛び込み、とっさにシャッターを切りました。我々とはなにも変わらないいのちであることを実感しました。

著者プロフィール

森勝彦(もり・かつひこ)

1963年石川県生まれ。立山の大自然とその地で生きる雷鳥に心を奪われライチョウ撮影がライフワークとなる。そののちブナ林にいのちを感じ雑誌に発表する。現在、里山こそいのちの原点であると多角的に撮影中。1997年 写真集「奇跡の鳥ライチョウ」(山と渓谷社・2010年 写真集「雷鳥―神々の使者」(TECS)出版。

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