日本全国の動物園と水族館をつなぐ情報誌、「どうぶつのくに」「どうぶつえんとすいぞくかん」公式Webサイト

どうぶつのくに どうぶつえんとすいぞくかん

Vol.55 ニホンジカとケモノ道と舗装道

2020.10.6

 里山では当然多くの動物達が生活しているのですが、運転中にも遭遇したりします。ただ、私が山の中で動物達と出会う回数と道路で動物達と出会う回数のどちらが多いかと問われると、それは即答できないくらいに運転中に見かけることも多いのです。

運転中見かけたニホンジカ

 私たちは我々の都合で道路を作り自由に行き来出来るようにしているのですが、動物達からすれば自分たちの行動圏に道路がある事で、移動のために道路を歩いたり渡ったりする必要が出来てしまい、非常に危険な状態にさらされてしまいます。
 それでも上手に道路を歩いたり車との接触を俊敏にかわしたり出来ればいいのですが、現実にはそうではなく非常に多くの動物たちが車との接触事故に合っています。いくら運動能力が優れていようと、私たちのように道路の安全教育を受けるわけでも無いので、こんなことで事故にあうような動物はあまりにも可哀そうな事です。
 たいがいは道路横断中にたまたま車が走ってきて事故に合うのでしょうが、夜間では運転中に動物を確認することも困難であり、夜間の山道ではせめて速度を落として不幸な事故は多少でも減らす努力が大切だと痛感します。
 道路のど真ん中のカラスが、車が来る直前まで飛び立たない事もあり、ヒヤリとすることもあります。先日は、道路で横たわる若いニホンジカの姿を見てやはり私たちが注意出来ることで事故を減らさねばと実感しました。

ここは飛ばす車が意外に多く、可哀そうな現実。

 そういえばかなり前になりますが、道路を悠々と歩くニホンジカに遭遇したことがありました。道路が彼の移動の最短距離だったのでしょうか。いずれにしても野性動物が道路で不幸に合うようなことは想像したくなく、けもの道を元気に行き交う姿こそが彼らのあるべき姿なので、事故回避のために謙虚に運転したいものです。

道路の真ん中を平気で歩くニホンジカ

けもの道を行くニホンジカ。動物と我々が安全に生活出来ればそれが一番なのだが。

著者プロフィール

森勝彦(もり・かつひこ)

1963年石川県生まれ。立山の大自然とその地で生きる雷鳥に心を奪われライチョウ撮影がライフワークとなる。そののちブナ林にいのちを感じ雑誌に発表する。現在、里山こそいのちの原点であると多角的に撮影中。1997年 写真集「奇跡の鳥ライチョウ」(山と渓谷社・2010年 写真集「雷鳥―神々の使者」(TECS)出版。

カテゴリー

カテゴリー一覧

このカテゴリーの他の記事

ページTOPへ

Copyrights © 2010 Doubutu-no-kuni All Rights Reserved.
誌面、Webにおけるあらゆるコンテンツの無断複写・転載を禁じます。