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Vol.39 動き出す田圃と野鳥

2016.4.30

 4月になると田植えの準備で農作業が賑やかさを増してきます。まだ水を張ってない田んぼでは国鳥であるキジにお目にかかることがあるかもしれませんが、やがて水を張って耕してという作業が始まるとサギの仲間がにわかに活気ついてくるのです。それは土の中の餌となるいきものが耕運機のおかげでたやすく獲ることができるからです。
 この農作業、我々の田んぼを耕しているのではなく自然界を耕しているとも言えるでしょう。確かに近年、我々人間の行き過ぎた行動により地球の未来が脅かされているともいえる状況にあります。しかし、本来人と自然は一体のものであり、自然により人は生かされて、人の暮らしのかなで自然は管理されて育まれてきたはずなのです。そう言った長い歴史の中で、様々な生き物たちも人と自然と絶妙な関係を築きながら生きてきた。そう言ったことをふと考えることができる季節の始まりだともいえます。
 里山という環境を核として、林業、農業を通じて豊かな日本の自然は成り立っているのです。山も里も川も海も当然繋がっており里山は里山だけの問題にとどまらないということを農作業の光景の中で感じてみてはいかがでしょうか。

日本の国鳥であるキジ。警戒心が強いのでなかなかじっくり観察できないが、写真で見るとオスは非常に美しい羽毛の持ち主であることがわかる。

日本の国鳥であるキジ。警戒心が強いのでなかなかじっくり観察できないが、写真で見るとオスは非常に美しい羽毛の持ち主であることがわかる。

警戒心が強くて人の気配に敏感なサギの仲間であるが、耕運機のそばでは話は別のようで、耕すことで土壌の中の餌が掘り返されるという恩恵にあやかっている。

警戒心が強くて人の気配に敏感なサギの仲間であるが、耕運機のそばでは話は別のようで、耕すことで土壌の中の餌が掘り返されるという恩恵にあやかっている。

勢いよく水田に水が流されていく光景は我々の生活の営みでもあり自然界の営みでもあり、見ていて気持ちがいい。この水によってすべての命が生かされているのだから。

勢いよく水田に水が流されていく光景は我々の生活の営みでもあり自然界の営みでもあり、見ていて気持ちがいい。この水によってすべての命が生かされているのだから。

田に水を張り田植え後しばらくの間の季節、一番水田が美しく輝く。 冬の間休んでいた大地が目覚めて勢いよく動き出す躍動感さえ感じる。

田に水を張り田植え後しばらくの間の季節、一番水田が美しく輝く。
冬の間休んでいた大地が目覚めて勢いよく動き出す躍動感さえ感じる。

著者プロフィール

森勝彦(もり・かつひこ)

1963年石川県生まれ。立山の大自然とその地で生きる雷鳥に心を奪われライチョウ撮影がライフワークとなる。そののちブナ林にいのちを感じ雑誌に発表する。現在、里山こそいのちの原点であると多角的に撮影中。1997年 写真集「奇跡の鳥ライチョウ」(山と渓谷社・2010年 写真集「雷鳥―神々の使者」(TECS)出版。

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