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どうぶつのくに どうぶつえんとすいぞくかん

Vol.44 桜

2017.3.3

 50を過ぎた歳のせいか、やたらと昔のことを考えたりします。あの頃はよかったなと、今と比較してしまうことが多いのです。

 子供の頃、学校からの帰り道は田んぼの中の一本道でした。四季の自然を感じながらの登下校でしたが、残念ながらその道は作り変えられて現在はありません。あの時あった田んぼも全くなくなり住宅や商店等でにぎやかな場所になってしまったのは寂しい限りです。当時を思い起こすと、豊かで幸せな環境だったなと思うのは、季節の景観や匂いまでも敏感に感じることができたからです。しかし、今その場所は車の往来が激しく季節感どころではないのです。

 子供のころは夏が好きでしたが、今は春が一番です。徐々に気温が上がり穏やかな気持ちになると同時に、一大イベントのような桜の季節でもあるからです。満開の桜はものすごいパワーがありますね。少々落ち込んでいても桜に見ってしまって穏やかな気持ちにもなれたりもするのですから。

 最近よく「失われた原風景」なんてフレーズを耳にします。満開の桜を背景に農作業が始まる季節。そんな穏やかな光景、昔は珍しくはなかったのかもしれませんが、都市化が進んだ現在では絶滅寸前とも言えるでしょう。失ってはいけない自然豊かな風景も現在の市街地で見つけることは困難でしょう。都市化により利便性を追求した引き換えに、季節感に心動かすといった豊かさを犠牲にしてしまったのだなと思うこの頃です。

春といえば桜、日本人の心ですね。

春といえば桜、日本人の心ですね。

桜開花と共に始まる農作業も絵になります。

機械化が進んだとはいえ、今なおこうして人の手にこだわることでよりおいしいお米が出来るのであろう。

著者プロフィール

森勝彦(もり・かつひこ)

1963年石川県生まれ。立山の大自然とその地で生きる雷鳥に心を奪われライチョウ撮影がライフワークとなる。そののちブナ林にいのちを感じ雑誌に発表する。現在、里山こそいのちの原点であると多角的に撮影中。1997年 写真集「奇跡の鳥ライチョウ」(山と渓谷社・2010年 写真集「雷鳥―神々の使者」(TECS)出版。

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