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Vol.37 キツネと里山事情

2016.2.19

里山で頻繁にキツネに出会ったことがある人は結構幸運な人かもしれない。ホンドキツネは名前から想像がつくように本州・四国・九州に生息するキツネで、北海道のキタキツネとは別種ですが、両種は共に大陸のアカギツネの亜種となる近縁種の関係です。ホンドキツネは、現在県によっては絶滅危惧種に指定されているようで、全国的にもかなり生息数が減っている。私の知人からもキツネを見たという話は多くはないのでなんとなく現状は察しがつきます。
 里山や森では他にも様々な哺乳類が生息していて、シカやカモシカなどは逆に数を急激に増やして様々な問題に発展しています。これらに関してはオオカミの絶滅が関係するというはなしもあります。ノウサギも同様に数が増えすぎているとも言われていて、これはウサギを捕食するキツネの減少が関係しているといわれています。そして熊やイノシシが人里に現れる問題は珍しいことではなくなってしまいました。いったい日本の里山とその生態系はどうなってしまったのでしょうか?下手をすると近い将来取り返しのつかないことになりそうで恐ろしいことです。
 私が頻繁に撮影に向かう里山では様々な動物が生息していてもちろんキツネもいますが見かけることは稀です。逆にノウサギの足跡は雪上に多く見られて、実際に走り去る姿も何度も見かけます。やはりキツネの減少がノウサギの増加に影響しているという話にうなずいてしまうものです。
 キツネの生態を文献で調べてみると、生息にはキツネに適したある程度の広い環境が必要なようで、開発が進んでいった今の里山にはその環境が少ないということかもしれませんし、同時に植物性の餌不足も疑えるような気がします。繁殖という面で考えると、生後一年の生存率が4%以下といわれているようで、それも大いに気がかりです。
 里山の生態系が乱れてきて、野生動物と私たちの生活とトラブルになることもあるのですが、このようなキツネの現状を思うと無条件で頑張って生きてほしいと応援したくなります。もっとも生態系に影響を与えているのは大なり小なり我々なのでしょうから複雑な思いです。

降りしきる雪の中を徘徊するホンドキツネ。

降りしきる雪の中を徘徊するホンドキツネ。

肉食系の身体能力の高さがその機敏な動きからうかがえる。

肉食系の身体能力の高さがその機敏な動きからうかがえる。

里山では必ずといっていいほど確認できるのがウサギ足跡やその姿。 キツネ減少により相当数を増やしているのかもしれない。

里山では必ずといっていいほど確認できるのがウサギ足跡やその姿。
キツネ減少により相当数を増やしているのかもしれない。

著者プロフィール

森勝彦(もり・かつひこ)

1963年石川県生まれ。立山の大自然とその地で生きる雷鳥に心を奪われライチョウ撮影がライフワークとなる。そののちブナ林にいのちを感じ雑誌に発表する。現在、里山こそいのちの原点であると多角的に撮影中。1997年 写真集「奇跡の鳥ライチョウ」(山と渓谷社・2010年 写真集「雷鳥―神々の使者」(TECS)出版。

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