日本全国の動物園と水族館をつなぐ情報誌、「どうぶつのくに」「どうぶつえんとすいぞくかん」公式Webサイト

どうぶつのくに どうぶつえんとすいぞくかん

Vol.28 里山ツキノワグマ事情

2014.11.19

 人里に出没して嫌がられる動物といえばクマが筆頭に挙げられるのではないでしょうか。ここで取り上げるのはツキノワグマですが、もともとはブナ林など茂る標高の比較的高い奥山に生活する動物です。以前はブナが不作の年は餌不足の関係で人里まで降りてくるとよく言われていたかもしれませんが、実際にはツキノワグマは様々なものを餌にしているようです。昨今里山が荒れたといわれ,これまで比較的開けていた地域が多種多様な草木に覆われて雑木林化するとツキノワグマとっては人目につきにくい格好の餌場となるのです。そのために人里に進出したクマによる人的被害が多くなっています。
 このような現状ですから捕獲用の熊檻を見たことがある人も少なくないと思います。これはクマにとっても厳しい現状です。
 このコラムではたびたび書かせていただいているのいですが、私たちの生活様式の変化により里山が荒廃し自然環境を狂わせたことでどうぶつたちの生活が乱れてしまったのです。これまで微妙なバランスで保たれていた自然界のしくみは今は崩壊してしまったといえるのではないでしょうか。今回はツキノワグマを取り上げたわけですが、シカやイノシシの被害も相当に深刻なのです。この狂ってしまった環境や生態系を元に戻すのは容易ではないと思います。やはりいちばん大事なのは自然に対して謙虚に接することではないでしょうか。自然は私たちのものではなくどうぶつたちと共有のもの。私たちはその環境を借りているだけという思いになることができたならいいのではないかと思います。

胸元の白いV時の三日月にも見える独特の紋章からツキノワグマと名前が付いたのであろう。基本は奥山にいきものだが里山の荒廃で奥山とつながり生息域が里に広がったと認識するのが妥当であろう。

胸元の白いV時の三日月にも見える独特の紋章からツキノワグマと名前が付いたのであろう。基本は奥山にいきものだが里山の荒廃で奥山とつながり生息域が里に広がったと認識するのが妥当であろう。

近くの森林公園では毎年のようにクマが目撃されている。私たち近くの森林公園では毎年のようにクマが目撃されている。私たちのにとっても困りものだが、熊にとっても捕獲されることは悲劇でもある。

近くの森林公園では毎年のようにクマが目撃されている。私たち近くの森林公園では毎年のようにクマが目撃されている。私たちのにとっても困りものだが、熊にとっても捕獲されることは悲劇でもある。

私が定点撮影しているのは標高がほとんどない里の雑木林。 そんな栗の木の下に親子熊が現れた。

私が定点撮影しているのは標高がほとんどない里の雑木林。
そんな栗の木の下に親子熊が現れた。

カメラの前を動物が通過するとセンサーが反応して無人カメラが勝手に映してくれる仕組み。発光するストロボに驚くこともなく近づいてくるクマの姿が映されていた。クマに出会った時に脅かして追い払うことは不可能であることの証明である。クマに会わないための対策が一番大事だといえるのである。

カメラの前を動物が通過するとセンサーが反応して無人カメラが勝手に映してくれる仕組み。発光するストロボに驚くこともなく近づいてくるクマの姿が映されていた。クマに出会った時に脅かして追い払うことは不可能であることの証明である。クマに会わないための対策が一番大事だといえるのである。

ツキノワグマは樹上の木の実を食べるために写真のようなクマ棚ができる。 見た目は巨大な鳥の巣のようなもの。木々が紅葉して落葉しだすとその存在がわかりやすくなる。

ツキノワグマは樹上の木の実を食べるために写真のようなクマ棚ができる。
見た目は巨大な鳥の巣のようなもの。木々が紅葉して落葉しだすとその存在がわかりやすくなる。

定点撮影の現場で9月から11月までずっとカメラに写っていることから、クマの生息域はすでに私たちのすぐそばまで来てしまっていると考えるのが妥当である。

定点撮影の現場で9月から11月までずっとカメラに写っていることから、クマの生息域はすでに私たちのすぐそばまで来てしまっていると考えるのが妥当である。

著者プロフィール

森勝彦(もり・かつひこ)

1963年石川県生まれ。立山の大自然とその地で生きる雷鳥に心を奪われライチョウ撮影がライフワークとなる。そののちブナ林にいのちを感じ雑誌に発表する。現在、里山こそいのちの原点であると多角的に撮影中。1997年 写真集「奇跡の鳥ライチョウ」(山と渓谷社・2010年 写真集「雷鳥―神々の使者」(TECS)出版。

カテゴリー

カテゴリー一覧

このカテゴリーの他の記事

ページTOPへ

Copyrights © 2010 Doubutu-no-kuni All Rights Reserved.
誌面、Webにおけるあらゆるコンテンツの無断複写・転載を禁じます。