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Vol.47 里山を駆けるカモシカ

2017.9.22

 自分が子供の頃は高度成長期と呼ばれる時代でした。交通手段がバイクから自家用車に変化し、ラジカセなるものが登場しだした時代でした。モノは今から比べるとても少ない時代でしたが、モノに対する愛着がとても強かったのでした。身近に存在するどれもが簡単に興味の対象になりうる時を過ごしたもので、その中のカメラの存在は大きかったと思います。見たものが1枚の写真として記録できることが面白くて、撮ることも撮られることも大好きだったような気がします。ところが今の世の中はどうでしょうか、写真よりも動画が主流になりつつあり、プリントよりもネット公開が当たり前かもしれません。写真やカメラというものに対する感覚はあの時代とは全く違うものになってしまい、興味の持ち方も目的も全く変わってしまったのには驚くばかりです。
 最初に写真に興味を持ったのは、正確な記録性とそれがプリントにより手元で見ることができる利点でした。今は当たり前すぎてこんなところにストレート感動する人は皆無でしょう。ハイテク機器となった現代のカメラの可能性も用途も無限大でしょうから。
 私が40数年間あまり興味を示さなかったものは野生の哺乳類です。これらは大半が夜行性のために普段見かけることが少なかったからです。しかし、最近ではそのことがかえって興味を持つきっかけになっています。見られない動物をどうやって見てみようかと思ったときに思いついたのがやはりカメラでした。子供の頃はその記録性に興味を持って野鳥を撮っては図鑑で見比べていました。今はその対象を里山の哺乳類にシフトしています。赤外線センサーを使い自動でシャッターが切れるシステムを自作で構築して撮っています。確かに今はハイテク時代で、赤外線センサーというすぐれものにあやかっているのですが、ピントも露出も複数のライティングシステムの発光調整等すべてをオートでなくマニュアル操作で動かしています。
 あの子供時代、アナログな時代だからこそ機械に使われることなく使いこなしてきたと思っています。そして、写真の記録性という原点から撮り続けてきた経緯が今に繋がっていると思っています。だからこそ野生のライブな生き様をアナログ的システムで追い求めています。などと書くとカッコよすぎですが、付け加えるなら、最近のハイテク機器を使いこなせない古い自分がいるわけでもあるのです。

普段、山で出会うカモシカはこちらを凝視するようにじっと動かないイメージが強いが、この様子を見るとさすがに野生と言わんばかりに躍動感が溢れている。

カモシカの背中に乗ることが出来たらこんな風に見えるのかもしれない。
我々は杉林を歩くのがやっとであるが、彼らは斜面でも平気で疾走できるようだ。

著者プロフィール

森勝彦(もり・かつひこ)

1963年石川県生まれ。立山の大自然とその地で生きる雷鳥に心を奪われライチョウ撮影がライフワークとなる。そののちブナ林にいのちを感じ雑誌に発表する。現在、里山こそいのちの原点であると多角的に撮影中。1997年 写真集「奇跡の鳥ライチョウ」(山と渓谷社・2010年 写真集「雷鳥―神々の使者」(TECS)出版。

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