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Vol.16 健康管理~インコ爪きり編~

2014.4.22

【ハズバンダリートレーニング】を日本語に適切に表現する言葉はないそうで、簡単に受信動作などと表現される事もあります。もう少し言えば【動物を健康管理するためのトレーニングで、動物自身が自主的に健康診断に協力するようになる】ものです。このトレーニングによって動物を押さえつけたり、麻酔をすることなく、体温測定・体重測定・口腔内検査・採血など様々な健康診断を実施する事ができます。動物に負担をかけないので、スタッフも安全に接する事が出来ます。

色々な動物園・水族館、そして那須どうぶつ王国の動物が簡単に【体重測定】が出来ているようにみえるのも、日々のハズバンダリートレーニングのおかげです。

今回は、インコの爪切りをするためのハズバンダリートレーニングについてみてみましょう。

インコやオウムの嘴(くちばし)・爪は、野生下では自然に削れます。飼育下では伸び過ぎてしまって、鳥自身の採食が落ちたり、足に怪我を負う原因になることもあるので、定期的にメンテナンスを行います。
ただ、鳥にとっても捕まえられて、爪を切られるなんて・・・とても気持ちの良いものではありません。そこで【ハズバンダリートレーニング】がとても大切です。

ステップ1:ボディタッチの練習
体にさわれるようにします。足だったり、翼だったり、頭だったり…体をスムーズに触れるようになったら、羽をたたんだ状態で少しずつ抑えて、保定します。持ち上げたり、うらがえせるようにまでします。

ステップ2:タオルトレーニング
その名の通り、タオルをかぶせるトレーニングです。
タオルを「バサッ」とかけられることは、鳥にとっては恐怖です。なので、まずはタオルに乗れるようにすることから・・・。タオルで「いないいないば~」と遊んだり、スキンシップの道具として活用すると恐怖心がなくなりやすいです。

(例.ルリコンゴウインコ・・・かけてさわる)

ステップ3:嘴・爪切り
タオルで包んだり、包んだまま持ち上げられるようになったら、実際に爪を切る時の保定の状態で持つ。最初はすぐにもどし、徐々に長い時間裏向けていきます。これが出来るようになれば、いよいよ嘴・爪のメンテナンスに入ります。

(例.タイハクオウム・・・包んで持ち上げる)

爪を切る時は、ニッパとヤスリで先端を丸めます。短時間で終わらせるためにテキパキと。

この時に足の裏に、し留症(人間のタコのようなもの)がないか、傷がないか、などをチェックします。
カサついていると、ひび割れてしまうので皮膚の隅々まで念入りに保湿クリームを塗りこみます。
同じように嘴もメンテナンスして、終了!

キレイニナリマシタ!

他の動物だと、例えばレッサーパンダでは・・・
・体重計に自主的に乗ること。
・いつも体格をチェック出来る様に全身をさわっても嫌がらないようにすること。
・移動用BOXにスムーズに出入りすること。
更に、
・採血の際の「チクッ」と針が刺さっても落ち着いていられる。
・爪きり
・口開けの指示で口腔内チェック
なども可能です。

那須どうぶつ王国では、ショーに出ている動物はもちろん、ショーに出ていない動物もトレーニングを行うことで日々の管理に役立てています。
紹介したメンテナンスが出来るようになるまでのステップ以外にも、トレーニング方法はたくさんあります。どんなアプローチで近づけていけばより早く学習するか・・・今後も更に考えていきます!

著者プロフィール

高井梢 (たかい・こずえ)

1984年12月8日 B型 
大阪コミュニケーションアート専門学校卒業
東京生まれ、大阪育ち
ショー解説では標準語 プライベートでは関西弁を操る
小さな頃から「動物園のお姉さんになる」のが夢で、現在はレッサーパンダ・カピバラ・インコ オウム類の飼育管理と、ネコとインコのショーの主任トレーナーとして日々奮闘中
「人と動物の懸け橋になる!」が永遠のテーマ

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