日本全国の動物園と水族館をつなぐ情報誌、「どうぶつのくに」「どうぶつえんとすいぞくかん」公式Webサイト

どうぶつのくに どうぶつえんとすいぞくかん

Vol.48 命に感謝

2019.7.7

こんにちは!
毎日雨ばっかりの那須ですが今年からは、回廊があるので雨でもラクにタウン内を移動できています♪

那須どうぶつ王国ではこの春新しい命が沢山誕生しました!!
そして、皆さんの前に続々とお目見えしています♪
ずらっとご紹介・・・
オオカンガルー、マヌルネコ、ミナミアメリカオットセイ、ファラベラ、シマスカンク、ジェンツーペンギン、ヒツジ、トナカイ
どの赤ちゃんたちも、それぞれ母親と担当飼育係の懸命な世話ですくすくと元気に育っています。

さて私の担当動物と言えば、ミナミアメリカオットセイ。
今回産まれた赤ちゃんは、マールちゃんとソール君の間に4月28日に産まれました。
平成最後の王国BABYです!!

赤ちゃんオットセイ・名前はプーロ君 ポルトガル語で「純粋」という意味

マールは前にこちらのコラムで紹介しましたが、初めて王国で産まれたオットセイで母親に育児放棄され私たち飼育係が育てた人工哺育のオットセイです。
産まれてから今まで、マールは私たち飼育係と一緒に沢山の山を乗り越えてきてくれました。今回の出産もまた一つの大きな山となりました。
マールが生まれた時、王国で海獣類の繁殖、出産は初めてのことで、ミナミアメリカオットセイの人工哺育は日本でも例がなく、分からないことだらけでした。
初めの頃はミルクが合わず、下痢をしたり吐き戻しをしたりと、私たちも滅入ってしまうほどお互いしんどい時期を過ごしました。
魚を食べる練習を始めたころもなかなか食べてくれず、心配なことばかり。
やっと魚を食べるようになってきた頃には、便がスムーズに出てこなくなる症状が・・・
そのままでは命に関わるということで、国内でもなかなか例のない緊急オペとなりました。
オペも無事に乗り越えて、今度は初妊娠、出産という大きな山を乗り越えてくれました。
他のオットセイよりも体が小さいマール、無事に出産をできるか、とっても心配でした。
27日から陣痛が始まってすんなりとは行かずやや難産でしたが、母子ともに健康に産まれてきてくれました。
実は、今回初めてオットセイの出産現場を間近で観察することができました。
目の前でマールが頑張る姿にこちらまで力が入り、何も手伝ってあげられない無力な自分に悲しくなり、必死に頑張るマールが無事でいてくれることを祈りながら、生きて赤ちゃんが出てきた時にはいろんな気持ちが溢れて感動で泣いていました。
ですが喜びも束の間、母子ともに無事と分かった後には、ここからマールが子育てをしてくれるのかという緊張が走ります。
結果は、育児放棄でした・・・
初めて自分から出てきた赤ちゃんを受け入れることができませんでした。
また、生まれてきた仔もかなり小さく、マールのおっぱいまでたどり着くのは難しそうでした。
ここからは、子供の命を救うため私たちの出番です。
無事に産んでくれて有難うとマールに深く感謝しながら、今までの経験を活かし赤ちゃんのお母さん代わりを水辺チーム一丸となりやらせてもらっています。
始めは哺乳瓶の乳首を上手に吸うことが出来なかった赤ちゃんですが、少しずつ吸うことも上手になり、今ではゴクゴクとミルクを飲んでいます。
産まれた時は3kgしかなかった赤ちゃんが、2カ月経った今では7kgを超える大きさまでに成長しました(*^-^*)
母獣のマールちゃんも出産をしたその日から、もりもりと魚を食べてくれて元気いっぱいに過ごしています。
大きく成長するまでは、まだまだ気は抜けませんが今のところ一安心です(*^^*)

飼育係と遊ぶの大好き!色んなものに興味津々!お客様にも興味津々!お腹ポンポンのコロコロした可愛らしいシルエット!鳴き声もまだ子供の声!ヒレも小さくておぼつかない歩き方!スヤスヤ気持ちよさそうに寝ている顔!あげだしたらキリがないほど魅力がたくさんです(*^^*)

甘えるの大好き

あおー!遠吠え?笑

ヘソ天&首の角度・・・笑

近い近い

今回の出産を経験してまた、「命」というものの尊さを動物から教えてもらいました。
毎日が当たり前にあるわけじゃなく、生きていること、生きてくれていることに本当に本当に感謝して、1日を、1秒1秒を、今この瞬間を、大事に過ごさないといけないなと感じています。
私が感じたこの感情を少しでも多くの人に伝えていけるように日々精進していきます。

最後に・・・
今回で那須どうぶつ王国の国見知里としての、ふれあい天国のコラムは最後となりました。
王国に遊びに来た方以外にも、動物の魅力を伝えることのできる仕事ができたことにすごく感謝しています。
これまでコラムを読んでくださった方、本当にありがとうございました。
7月からは姉妹園の神戸どうぶつ王国で働くことになりましたので、そちらからまた楽しいコラムをお届けできたらな・・・と思っています。

マール、関わってくれた全ての動物たち、本当にありがとう

これからも那須どうぶつ王国の動物たちをどうぞよろしくお願いします。
ありがとうございました。

著者プロフィール

国見知里 (くにみ・ちさと)
1989年8月2日生まれ
出身校:大阪コミュニケーションアート専門学校 動物園・動物飼育専攻
神奈川県横浜市出身、中学は高知県、高校から専門は大阪で過ごす。
ショーやパフォーマンスを通じて沢山の人に動物の魅力を伝える!がモットー。
チャームポイントは笑顔!!

カテゴリー

カテゴリー一覧

このカテゴリーの他の記事

ページTOPへ

Copyrights © 2010 Doubutu-no-kuni All Rights Reserved.
誌面、Webにおけるあらゆるコンテンツの無断複写・転載を禁じます。