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Vol.19 おもしろいことをしよう!ビントロング編

2014.7.31

仕事をしながら…。
お休みの日に…。
日々、頭の中でグルグルと考えていることがあります。
それは『おもしろいことしたいな…』です。
とてもざっくりした表現ですね。この『おもしろい』っていうのは、何かして遊ぼうとか、そういうことではなく『動物の生態・本来持っている能力を活かした驚きと感動のパフォーマンスが出来ないかなぁ』ということです。動物の本来持っている身体能力の高さに驚いたり、いつも見れない表情・仕草に出会えたり…普段体験することの出来ない感動。おもしろいこと=私が伝えたい動物の魅力的な姿でもあります。展示場にいるだけでは、伝えきれない魅力ってたくさんあるんです!

具体的に言うと、普段檻の中にいる猛禽類が自由に空を飛びかう姿を目の前で体感出来る【バードパフォーマンスショー】(…どうぶつのくに.net 新・美女と猛禽のコラムもご覧下さい)や、ネコの普段見る事のできない高い身体能力を感じることの出来る【THE・CATS】のように『その動物について、ちょっと詳しくなり、興味を持ち、きっと好きになる!』そんなパフォーマンスを増やしたいのです。
が、何か新しい…今までにない…う~ん…

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ねぇ。何したい?

「あの動物のこの動き凄いんだよなぁ。この動き活かしてなんかできないかなぁ…」
「この仕草可愛い!お客様に見せる方法ないかなぁ…」
「なんか、おもしろいことしたいなぁ…」
そんな事を、毎日頭の中でぐるぐる~と想像しています。

そして、新たにやりたい【おもしろいこと】を考えました。
それは…
『ビントロングの木登りパフォーマンス』です。
那須どうぶつ王国にいるビントロングは、一頭。オスのダムくんです。

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まだ雪の残る3月頃のトレーニング風景

Vol.12 ビントロング でご紹介してから9ヶ月経ちました。
あの時は、やっと肩に登れるようになった程度でした。
ここ最近の様子は、
・のぼって
・降りて
のコマンドを覚えて、看板や2m程の木に登れるようになりました。

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初めて練習した木。低めで、人が届くくらいの高さ。

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枝の一番下まで、余裕で登れるようになりちょっと得意げ。

ハズバンダリートレーニングとして、
・体重測定
・体温測定
・爪きり
・口開け(口腔内チェック)
・仰向けにごろん
等が出来るようになりました。

今回の『ビントロングの木登りパフォーマンス』は、登って・降りてのコマンドを利用し、高い高―い木の上まで行かせて、木の上で移動したり、尾を巻きつけたり、いきいきした表情を観察しよう!という時間です。
特に注目したいのが、尾の使い方です。ビントロングの尾は、筋肉が発達していて太めです。この尾を枝に巻きつけ上手に使って樹上を移動します。

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尾を足に巻きつける…

さて、それでは練習です。まず看板や、柵を使ってのぼってと降りてをしっかりと理解させます。それと、同時に園内の環境へ恐怖心を抱かないように、色んな場所でおやつをあげます。

指示が理解出来るようになるまで三ヶ月…そろそろもう少し高いところに登らせてみようかな…ということで、どの木へ登らせるかを選びます。選ぶ基準は
・木が細すぎないこと。
・建物や他の木に接触していないこと
・ダムの姿がはっきり確認できるくらいの茂り方      などです。

園内を歩くときは、首輪とリードを付けていますが木の上では引っかかってしまう可能性があるので、リードをはずして首輪だけの状態でフリーにします。
ということで、7月初旬。いよいよ、初めて木登りさせる日が来ました。
ダムがどんな動きをするのか…
高い木になると見える景色も違うし、指示を出すハンドラーの私の姿も離れるので、果たして上手く出来るか…
ドキドキな気持ちで挑戦です。

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一度目は、一番下の枝まで登るとそのまま枝の先端まで移動してきて木をたわませながら私の肩に降りようとしてきました。少し怖かったのか、安心できる私の肩に戻りたかったのでしょう。(漫画のように、ビヨーンとしなった枝で、パチンコ玉のようにパーンッと飛んでってしまうかと思いました…)

少しして、二度目の挑戦です。さっきの高さまで行ったあと、肩に来ないようダムから離れました。すると、少し戸惑いながら一歩上の木に登りました。
そのあとからは、スイスイ!と器用に上に登っていきました。ビントロングは、体も大きくなんだか鈍くさそうに見えます。が、この時のダムはそれはもうっ!!

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イキイキとした表情で、楽しそうに上に登ったり木に尾を巻きつけて移動したり…
「野生のビントロングもきっとこんな風に、上手に木の上で暮らしているんだな…」なんて考えながら、感動していました。
そして「このパフォーマンスはおもしろい!!」と確信しました。
何より、ダムが楽しそうなのがすごく良い!!!

今後は、このパフォーマンスが安定して出来るようにトレーニングをして『ビントロングの木登りパフォーマンス』が毎日見られるように、頑張っていきます。
これが、ビントロングを好きになるきっかけになるといいなぁ…

今後も『おもしろいこと』をしようっ!!!と、思うのでした。

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著者プロフィール

高井梢 (たかい・こずえ)

1984年12月8日 B型 
大阪コミュニケーションアート専門学校卒業
東京生まれ、大阪育ち
ショー解説では標準語 プライベートでは関西弁を操る
小さな頃から「動物園のお姉さんになる」のが夢で、現在はレッサーパンダ・カピバラ・インコ オウム類の飼育管理と、ネコとインコのショーの主任トレーナーとして日々奮闘中
「人と動物の懸け橋になる!」が永遠のテーマ

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