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マレーに首ったけ Vol.18 「2012年マレーグマの総決算」

2013.2.8

みなさん、ハッピーニューマレー!明けましておめでとうございます。ここを訪れて下さるみなさん、いつもいつもありがとうございます。おかげさまで無事に新年を迎えることができました。さて、記念すべき本年の第一回目は2012年の日本国内におけるマレーグマの飼育状況についてご報告したいと思います。

まず、恒例の飼育園館数と頭数の推移を表1に表しました。

このように、園館数は12園で現状維持の状態が続いています。ここでも繰り返しお伝えしていますが、日本にある動物園の中でマレーグマと会うことができるのは全体の2割も満たないのが現状です。残り8割の動物園の方々にその良さを分かってもらうためには、もっともっと宣伝活動を続けていく必要がありますね。どうぶつのくにCEOのTさん、これからもどうかご協力をよろしくお願いします。

次に頭数を見てみましょう。去年の28頭からめでたく1頭増えて29頭になりました。これで、少しずつですが2年連続で増加していることになります。そして、死亡が1頭。これは24歳のメスが病死してしまったのですが、元々数が少ないマレーグマで大変貴重な働き盛り世代の個体が死亡してしまったのは大変残念なことです。

ここで注目して欲しいのは2頭の出生です。東山動植物園でめでたく4年振り、同じく愛知県にある豊橋総合動植物園では何と15年以上振りの繁殖成功となりました。前回もお話ししましたように、これまでは上野動物園とのいち2園での繁殖が高い割合を占めていたため血統的な偏りが懸念されていましたが、今回の成功により新たに2系統が加わることとなりました。ここにあと数頭、海外から導入したファウンダーとなる個体を加えることができたら、日本にいるマレーグマたちの未来はかなり明るいものになることでしょう。海外施設との交流を前から目標として掲げておきながら全く進んでいませんので、その点は調整者として大いに反省しています。どうか、海外に心当たりのある関係者の方はご協力頂けるよう、この場をお借りしてお願いします。

次に園館同士での異動は今年はゼロでした。2例あった昨年と比べると不活発な印象を持たれるかもしれませんが、ここ数年の間に次の繁殖世代となる若いペアが増えていることと、昨年の繁殖個体がまだまだ若くて移動する状態になかったことが理由に挙げられます。また、そのことから考えると上野の「フジ」とのいちの「ハニイ」は今年は旅立つことになるでしょう。

さっきも少し触れましたが、海外との交流については昨年に続きゼロとなっています。前回もぼやかせていただきましたように、やっぱり費用対効果を考えるとマレーグマの海外からの導入に対して投資するのはきびしい面があるのでしょう。いわゆるバーターでも構いませんので、接点の多い園館さまにはせめて気に留めておいて欲しい、と思っています。

最後に、表2.として2012年12月末現在の年齢構成を表しました。

メスは18歳以上がちょうど半数ですし、オスでは15歳以上が過半数です。このように確実にじわじわと高齢化が進んでいますが、11歳以下の個体もメスでは半数、オスでも5頭いて次世代の更に先の繁殖を担うグループが控えている状況でもあります。でもやはり、全体数が全然足りませんので、もっともっと増えて欲しいです。

このようにマレーグマという種は血統云々を考える前に、まだまだ頭数の確保が必要な状態であることが分かります。その種の存続を考えた場合に最も重要である野生下の状況がはっきりしないという、何かと中途半端な扱いを受けがちな彼らを、せめて日本国内ではできるだけ多くの動物園で出会えるように努力してきたいというのが今年も変わらない私の目標です。

ということで、こんな感じで今年もマレーグマについて様々な情報を発信していきたいと思いますので、どうかおつき合い下さい。本年もよろしくお願いいたします。

お詫び
マレーに首ったけVol.18『2012年マレーグマの総決算』におきまして、下記の通り内容の誤りがありました。申し訳ありません。
本文10行目「これは14歳のオスが病死して」を「これは24歳のメスが病死して」に訂正いたします。
訂正させていただきますとともに、読者のみなさまにご迷惑をおかけしましたことを深くお詫びいたします。

筆者並びに『どうぶつのくに』編集部一同

著者プロフィール

本田祐介(ほんだ・ゆうすけ)

高知県立のいち動物公園 飼育課長補佐
学芸員

熊本県出身
1991年 宮崎大学大学院農学研究科修士課程 卒業
小学生の頃に何度も読んだ、少年ジャンプ連載「ぼくの動物園日記」(飯森広一・作)に多大な影響を受けてこの業界へ。
1991年 高知県立のいち動物公園の開園時より初代飼育スタッフとして勤務。
その後マレーグマ、オオアリクイ、アミメキリンなど様々な動物種を担当。
2010年~種保存委員会・マレーグマ種別調整者に。

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