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Vol.33 「タオチイさん、事件です!」

2014.12.20

 月並みな始まりではありますが、もう師走ですね。何だか今年もあっという間でした。2014年のマレー界全体を振り返るのはもうちょっと後にして、今回は今年のいちで起こったちょっとした事件をご紹介したいと思います。

あれは、とある真夏の日曜日のことでした。事務所にいた私の元へ窓口から連絡があり、何でも『マレーグマの展示場に大きなヘビがいるとお客さんから電話があったので、見に行って欲しい』とのことです。これがプレーリードッグや水鳥の展示場ならば大変だ!ということになりますが、相手は体重60kgを超えるマレーグマペアです。強いて言うならヘビの心配をするべきですし、更に細かい事情を言うと、のいちではマレーと一緒にコウラウン、ブンチョウという東南アジアに生息する小型鳥類を放しているので、”ヘビが逃げてしまう前に何とかしたい”という気持ちが一番でした。ま、もっともすでにワンピイかタオチイのどちらかが鋭い爪で片を付けているだろうと思っていたのですが。
そして、約5分後にマレーグマ展示場に到着してみると、タオチイが立木のてっぺんにいました。

あれ、あんた何かえらく緊張してない!?ヘビはどうした?

あれ、あんた何かえらく緊張してない!?ヘビはどうした?

ちょっと視線をずらすと、まだいましたいました。

おーっ、なかなかのサイズの丸々としたアオダイショウです。

おーっ、なかなかのサイズの丸々としたアオダイショウです。

よくぞ食べられずに無事だったー、とワンピイの方を見てみると

こ、こっちもびびってるやんか!

こ、こっちもびびってるやんか!

そうです、食べてしまうどころか、明らかに2頭とも怖がっているんです。野生ではヘビも食料のひとつになっていると思うのですが..(^^;)

その後、しばらく観察を続けましたが、

タオチイはガン見したまま動けず...

タオチイはガン見したまま動けず...

ワンピイは”勇気を出して初めてのアオダイショウ”

ワンピイは”勇気を出して初めてのアオダイショウ”

おー、さすがオス!と、ちょっとだけ見直しましたが、どうやらこの距離が限界のようで、何度繰り返してもこれ以上近付くことはありませんでした。もっともっと見ていたかったのですが、とにかくヘビを逃がすわけにはいかないので、もうタイムアップです。マレーペアを寝室に収容して自分で捕獲することにしました。あまりに突然なハプニングに2頭とも興奮して帰ってこないのでは、と心配しましたが全くそのようなことはなく2頭で先を争って一瞬で収容が完了しました。

 さあ、いよいよ捕獲です。この頃にはギャラリーもけっこう増えており失敗が許されない状況でしたので、念のためスネアを持ってきて、

獲ったどー(失礼..)。

獲ったどー(失礼..)。

 その後は罪を憎んでヘビを憎まず、という精神で

『画像7』:
ジャングルミュージアムから遠く離れた、園内の自然に帰ってもらいました。もう帰って来んでよ-。

ジャングルミュージアムから遠く離れた、園内の自然に帰ってもらいました。もう帰って来んでよ-。

 と、今回は明るく(?)終わることができましたが、当園のジャングルミュージアムのような屋内型施設にとってヘビの侵入というのは大変重大な出来事です。もちろん、この後は侵入防止策を更に強化したことは言うまでもありません。これ以上ワンピイ&タオチイたちに怖い思いをさせるわけにはいきませんし。

 ということで、次回は『2014年マレーグマ総決算』をお届けする予定です。お楽しみに!

著者プロフィール

本田祐介(ほんだ・ゆうすけ)

高知県立のいち動物公園 飼育課長補佐
学芸員

熊本県出身
1991年 宮崎大学大学院農学研究科修士課程 卒業
小学生の頃に何度も読んだ、少年ジャンプ連載「ぼくの動物園日記」(飯森広一・作)に多大な影響を受けてこの業界へ。
1991年 高知県立のいち動物公園の開園時より初代飼育スタッフとして勤務。
その後マレーグマ、オオアリクイ、アミメキリンなど様々な動物種を担当。
2010年~種保存委員会・マレーグマ種別調整者に。

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