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Vol.56 バリアフリー計画第2弾

2018.6.12

いかーん、最近はいっつもこんな始まり文句で大変恐縮ですが、気が付いたらもう、

四国どころか日本中が梅雨まっただ中です。

今回は梅雨を吹っ飛ばせ、ということでタイトルにあるように当園マレーグマ展示場のバリアフリー対策として新たに木製遊具を設置しましたので、その模様をお知らせします。

じゃーん、これです。

名付けて『 マレー回廊 』!このネーミング、どうでしょうか? 遊具としてはもちろん、立木に登る時の補助機能、及び万が一落下した場合のクッション的な役割も兼ね備えており、バリアフリー対策の一環となっています。正直言いいますと、高さも長さももう少し欲しいところではありますが、何せ器用な彼らのことですから、壁面との距離を考慮すると今回のサイズがギリギリでした。

反対側から見るとこんな感じです。

こうして、それなりに高額な費用をかけて設置したマレー回廊ですが、4月16日~実際に開放してみました。もちろん直後からガリガリ、ガリガリと大歓迎を受け、このままではG.W.まで保たないのでは?と心配しましたが、何せ熱しやすく冷めやすい彼らのことですから、数日で勢いがぐっと弱まり、なんとか5月まで乗り切りました。

ま、他にもいろいろ入れて気を散らしましたが...

約1ヶ月半でこんな感じです。

そして、このマレー回廊、実は設置したことで大問題が起きているんです!なんと、あれだけ木登りが大好きで得意だったタオチイが登らなくなってしまったんです- (T_T) バリアフリーといえども最大目的は行動の活性化、こうなると完全に本末転倒ではありませんか。これじゃあイカン!と担当者に詳しく状況を聞いてみると、

どうやら、これが原因のようです。

そう、今回はめずらしくワンピイが気に入ってくれて、設置以来よく上で休んでいる姿を見かけます。そして、この休息位置がタオチイの定番登頂ルートと重なっており、ワンピイとの接近を嫌がって登ることをあきらめてしまったようなんです。ペアの関係って難しい..。
実はワンピイが登らなくなった原因の半分も以前、遊具を設置したことでした(もう半分はタオチイに強く怒られたからなんです)。

このように、動物(人間も?)はなるべく効率よく生活しようとするので、ほんの少しの障害物(物理的にも精神的にも)がいつもの行動を大きく変えてしまうことになりかねません。良かれと思って設置した私たちも、いろいろ考えさせられた出来事でした。でもご安心下さい、幸いなことにタオチイは最近はまた登るようになってきました。たまたまワンピイがいなかったからでしょうか。真相は分かりませんが、歳をとってもまだまだ環境に適応していく力は健在のようでホッとした次第です。このマレー回廊、正直あとどれくらい健在なのかわかりません。ぜひお早めに見学にお越しください。

上空を飛ぶコウラウンも増えましたので鳴き声も併せて楽しんで頂きたいです。

著者プロフィール

本田祐介(ほんだ・ゆうすけ)

高知県立のいち動物公園 飼育課長補佐
学芸員

熊本県出身
1991年 宮崎大学大学院農学研究科修士課程 卒業
小学生の頃に何度も読んだ、少年ジャンプ連載「ぼくの動物園日記」(飯森広一・作)に多大な影響を受けてこの業界へ。
1991年 高知県立のいち動物公園の開園時より初代飼育スタッフとして勤務。
その後マレーグマ、オオアリクイ、アミメキリンなど様々な動物種を担当。
2010年~種保存委員会・マレーグマ種別調整者に。

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