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マレーに首ったけ Vol.13

2012.7.6

なんと、今回でこの「マレーに首ったけ」もとうとう13回目となりました。だいたい月1回のペースで更新させていただいていますので、これで2年目を迎えたことになるんですね。このコーナーをのぞいて下さっているみなさん、どうもありがとうございます。心から感謝しています。これからも、どうぶつのくにのCEOであるTさんから「もういい」と言われるまでは、何とかあの手この手でマレーグマの話題を提供していきたいと思っていますので、どうかお付き合い下さいね。よろしくお願いします。

さて、記念すべき(?)2年目のスタートは久しぶりに、というより第1回以来なので1年ぶりに、ちょっと真面目に2011年のマレーグマの総まとめについてお話ししたいと思います。なんてえらそうに言っても、もう2012年も半分過ぎていますが..。

気を取り直して、表1.に過去3年間の国内における飼育状況を記載しました。このように2011年は上野、のいちの2園で繁殖に成功し、全体数も1頭増える結果となりました。このことだけに注目すると大変喜ばしいのですが、2009年の成功例も全く同じ2園の同じペアでの繁殖ですので、血統的には決して明るいとは言えない状況なのです。
また、次世代の若いペア形成を目的として、過去3年間に4頭の国内での移動を実施しましたが、中心となるのは若い繁殖個体ですので血統の問題が解消されるわけではありません。

 

 

海外との交流については過去3年間でゼロとなっていますが、実は3年間どころか、2004年に中国から東山に来た♀個体を最後に、7年以上も新たな導入はなされていないのが現状です。ただし経済的な事情を考慮すると、海外から運んでくることと、その費用対効果を考えればかなり厳しいというのが本当のところでしょう。やはり「アメリカから新しいキリンやゾウがやって来た」というのと「中国から新しいマレーグマがやって来た」とでは、マスコミの扱いはもちろんのこと、一般の方々の反応も全然違う、というのは正直なところ否定できないですし。

次に、表2.として2011年12月末現在の年齢構成を表しました。一見すると♂♀の差も少なく、バランスが良いように思えるかもしれませんが、全体のちょうど半分が16歳以上であり、これから5年も経つと高齢化問題が深刻になることは容易に想像できます。
逆に10歳以下の若い世代に注目すると、何と全体の9割が上野&のいちでの繁殖子であり、ここでも新しい血統の確保が重要であることが伺えます。
このように現実に目を向けると”日本のマレーグマの未来は非常に厳しい”ということが分かると思います。それを打開していくには、①新規飼育園の開拓,②海外との血統交流 の2つを実現させなければいけません。
①のことについては、Vol.1でもお話ししたように日本にある動物園の約8割は「マレーグマに会うことが出来ない動物園」なのです。そのことを考えるとまだまだ開拓の余地があると信じています。そのためにも、このような場で情報発信をさせていただくことが少しずつでもマレーグマの地位向上につながれば、と願っています。そして②については、これからいろんな方々の協力を得ながら実現させていきたいです。

 

 

通常であれば繁殖制限の必要性も検討されるべきかもしれませんが、マレーグマは日本全体で30頭に満たない数しか飼育されていません。そんな希少な生き物をそう簡単に繁殖制限させるべきではない、と私は強く思っています。。そして、微力ではありますが、何とかマレーグマたちといつまでも日本のいろんな動物園で出会うことが出来るように努力していきたいです。

著者プロフィール

本田祐介(ほんだ・ゆうすけ)

高知県立のいち動物公園 飼育課長補佐
学芸員

熊本県出身
1991年 宮崎大学大学院農学研究科修士課程 卒業
小学生の頃に何度も読んだ、少年ジャンプ連載「ぼくの動物園日記」(飯森広一・作)に多大な影響を受けてこの業界へ。
1991年 高知県立のいち動物公園の開園時より初代飼育スタッフとして勤務。
その後マレーグマ、オオアリクイ、アミメキリンなど様々な動物種を担当。
2010年~種保存委員会・マレーグマ種別調整者に。

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