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マレーに首ったけ Vol.14

2012.8.5

今回は久しぶりに「人気者あつマレー!」をお届けしたいと思います。なんとVol.5の平川編以来となるんですね。どうも失礼しました。なかなか訪問できなかったから?いえいえ、なんせ全国で12園しかありませんから、ごとごと(土佐弁で”ゆっくり”)進めていく計画なんです..。
ということで、今回は日本で最も歴史のある『東京都恩賜上野動物園編』です。すごいですね、なんと開園130周年だそうです。実はこの上野動物園、去年の11月と今年の4月の合計2回、この取材のために(!?)訪問したのですが、いずれもオス1頭としか会うことが出来ず、ここでの紹介をちょっと迷っていたということもあるんです。

「クマたちの丘」と名付けられたゾーンにあります。

さて、もちろんこのサイトを訪れるみなさんはすでにご存じかと思いますが、上野動物園では去年の11月8日にオス「アズマ」とメス「モモコ」のあいだに「フジ」という子どもが誕生しています。そのため11月の訪問時には出産準備で展示中止、4月はギリギリ公開前で、父親のアズマしか会えなかったんです。あとで分かったことですが、なんと展示訓練を開始したのが4月7日で、私が訪れたのは4月5日。 本当にあとちょっとでしたねー。(T_T) もちろん、種別調整者だからといって特別に見せてもらうことができるはずもないので仕方がないです。でも、せめて「キョウコ」には会いたかったですね。

展示場の全景です

本題に戻って、ここの展示施設はやっぱり天下の上野動物園だけあってさすがです。
ピット方式ながら上からも下からも観覧でき、高低差もかなりあって動物が退屈しないような造りとなっています。さらに3本の大きな立木があって、上下の空間はかなり広くとってあります。しかも、この立木が高い!とっても高い!残念ながらこれまで一度も登っている姿を見たことがないんですが、それはそれは壮観なことでしょう。
それから、同じスペース内の電柵で仕切った部分にコツメカワウソが展示されています。ずいぶん前に当時の担当者の方に訪ねてみましたが、生き物には全く興味を示さないらしく、問題も起きていないそうです。マレーグマは興味を示さなくても、コツメカワウソ側は平気なんでしょうか..。

マレーグマではめずらしく、アリ塚のような給餌器(?)も設置されています

フジの母親であるモモコは、実は出産経験が豊富で今回が7回目の出産になるんですが、非常に神経質な性格のため、これまで無事に育ったのは今回のフジも含めて3例しかありません。やはり、マレーグマの繁殖には落ち着いた環境とメスの性格が重要であることがうかがわれます。それでも、モモコは2年前にも「ウメキチ」という♂を出産して無事に育てていて、最近は繁殖が順調になってきているようです。もちろん、今回もカメラを設置して24時間体制で観察するなど、飼育スタッフのみなさんの努力も大きいと思います。

観覧通路よりかなり高い位置まで木が伸びています

そして、モモコは21歳。マレーグマとしてはもうすぐ前期高齢者というところでしょうが、複数の出産経験があるメスが何歳まで繁殖可能かを示してくれる良い例となってくれるのは間違いありません。そしてその結果が、のいちのタオチイを始め、他園のメス個体のこれからの繁殖計画の大きな指針となっていくことでしょう。

やっと顔を見せてくれた「アズマ」

ということで、残念ながら重要なフジ親子との出会いはまだ未体験なのですが、写真で確認すると兄のウメキチと同じように胸の線に斑点が入っているようです。そして、当たり前かもしれませんが、のいちのハニイとは明らかに違う系統の顔をしています。もちろん、どちらもイイ感じですよー。
上野動物園はオス2頭、メス2頭と日本最多の飼育頭数なのです。もちろん4頭一緒に展示することはできませんが、連続して訪れてもいろんな個体と会うことができます。そしてフジは日本で最も若いマレーグマ。このように、さすがマレーグマに関しても日本一のことが多い上野動物園。フジが小さいうちにぜひ訪れてみて下さい。そしてやっぱり帰りは国立科学博物館でゆっくりして、というコースが最高でしょう。

この日のアズマは終始床材を掘って遊んでいました

著者プロフィール

本田祐介(ほんだ・ゆうすけ)

高知県立のいち動物公園 飼育課長補佐
学芸員

熊本県出身
1991年 宮崎大学大学院農学研究科修士課程 卒業
小学生の頃に何度も読んだ、少年ジャンプ連載「ぼくの動物園日記」(飯森広一・作)に多大な影響を受けてこの業界へ。
1991年 高知県立のいち動物公園の開園時より初代飼育スタッフとして勤務。
その後マレーグマ、オオアリクイ、アミメキリンなど様々な動物種を担当。
2010年~種保存委員会・マレーグマ種別調整者に。

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