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Vol.52 秋嵐過ぎ、満ち満ちて野に遊ぶ。

2015.10.5

 嵐が北海道を襲った。
日本海側から北西に吹き付ける風は日高山脈にぶつかって緩衝され、知床周辺への影響は最小になった。

青空が見えてもまだ嵐の最中。 枯れ葉は舞い、大きな雲が次々に半島の向こうへ吸い込まれていく。

青空が見えてもまだ嵐の最中。
枯れ葉は舞い、大きな雲が次々に半島の向こうへ吸い込まれていく。

しかし、日本海や道北、道央地域においては様々な気象障害をもたらし、ニュースではひっきりなしに警報が流れている。
外に出てこの大風に吹かれるとムシっとした温度を感じ、強いエネルギーを秘めていることがわかる。
厄介な嵐ではあるけれど、この強い季節の風が夏の名残を一掃し、寒気を呼び込み季節を変える。

ヒグマの親子が連なってやってきた。

ヒグマの親子が連なってやってきた。

知床の紅葉は遅い。
山岳と平地では大きく時間がずれるけれど、平地では10月の中旬以降になる。
一般的には紅葉を見てからやっと秋、という感覚だがそれだと知床では冬になってしまう。

おかあさん獲れるかなぁ?

おかあさん獲れるかなぁ?

僕は一年中動物を追いかけているので、ものの見方が普通より動物側へ傾いていて少々展開が早い。
9月の初旬にスノータイヤへの履き替えをスタンドへ頼んだら、店員さんに変わったものを見るような目つきで見られてしまった。

 

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紅葉の進み方は9月の中旬からは日に日に、森の色がわずかずつ変わっていく。
そして嵐の到来以降には、朝と夕では森の色が大きく変わってしまっている、という具合だ。

 

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今年のヒグマは、タイヤを履き替える僕以上に季節への対応が早く、夏にやっと粒が膨らんできた青いヤマブドウやコクワ、スモモの硬い実をバリバリと齧っていた。
例年は、少数は気の早いクマがいるものの、大体はちゃんと木の実が熟してから食べるものだ。
これはきっとドングリの実がならねぇな‥と思っていたら案の定サッパリ無い。

ロボット撮影のカメラの動作に驚いた小グマ。 隅々が気になる冒険心の強い子のようだ。

ロボット撮影のカメラの動作に驚いた小グマ。
隅々が気になる冒険心の強い子のようだ。

川へ遡上するサケ・マスも昨年より更に少ないので大丈夫かな、と心配になるものの、普段であれば食い飽きて手をつけないヤマブドウが大量に残るものだし、その分を腹に収めてなんとかしのげるだろう。

おかあさんにもらったサケのあたま!

おかあさんにもらったサケのあたま!

もっと言えば、ここ数年はヒグマの数も増加気味だったので数を減らす方への自然の調整があるのかもしれない。

おとした!

おとした!

長期の気象予報では今年は暖冬、という予想が出ている(毎年同じ内容に感じるのは気のせい?)。

 立場の弱い母子のクマは、普通川には近づかない。    サケ・マスが少なく他の大きな雄グマがあまりいないので危険を冒して来ているらしい。    魚はいないし、長居をすると他のクマに出会ってしまうのでさっさと通り過ぎていく。    食事をしたり、ルートを覚えたり、一緒に冬ごもりをしたり、小グマにとっては、母親との全てが遊びで勉強だ。 

立場の弱い母子のクマは、普通川には近づかない。
サケ・マスが少なく他の大きな雄グマがあまりいないので危険を冒して来ているらしい。
魚はいないし、長居をすると他のクマに出会ってしまうのでさっさと通り過ぎていく。
食事をしたり、ルートを覚えたり、一緒に冬ごもりをしたり、小グマにとっては、母親との全てが遊びで勉強だ。 

僕は、木の実やヤマの雰囲気から、クマたちの今年の冬ごもりが早そうな予感がしている。

紅葉、というにはまだ早いけれど。 夕日と滲み迫る闇が半島のあちこちを染めていく。

紅葉、というにはまだ早いけれど。
夕日と滲み迫る闇が半島のあちこちを染めていく。

著者プロフィール

八木直哉(やぎ・なおや)

1975年北海道生まれ。
写真家。動物、魚類、鳥類、両生類、昆虫、などを撮影している。
北海道の本来の野生と人の関わりの痕跡が現在のテーマ。
愛用の機材はNikon F5 F100 FM2 D300

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