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どうぶつのくに どうぶつえんとすいぞくかん

Vol.87 暑い日は‥。

2018.9.18

 最近は少々落ち着いた気配だけれども、今夏を振り返れば本州では「今日の気温は40℃に到達しました」といったニュースが連日流れていたように思う。
しかし知床では全く気温が上がらず、30℃~35℃程度の暑い日は一週間のみで、その週を挟んだ前後は10℃~15℃程度の日が多かった。
「冷夏であり日照時間も短く、農作物の育ちが良くない」とは端正込めて野菜を育てている僕の家の大家さんの弁。
条件が悪いとはいえ、大家さんに頂く丁寧に育てられたトマトは絶品であり、流水に浸け冷やし、一齧りすると熟したグースベリー(グスベリね)のような甘みや香りを放ち、非常に旨い。
一度こんなのを食べてしまうと、買って食べているのが馬鹿らしくなってしまう。
気象条件の悪さを理由に出来の悪さを嘆くのは、彼一流の照れ隠しであり、本当は大いなる自慢が込められているようなフシがあるのは気のせいではないだろう。

波間にクマが‥

いずれのショットでも表情に注目。

「暑い‥」

今年の知床・オホーツクは気温が低い日が多かったが、例年通りであればフェーン現象に伴い、湿度だって結構なもので、大げさではなく灼熱だ。
直射日光下であれば40℃近くになることすらあり、気象庁発表の気温は日陰で計られているらしいが、日陰だからといってカラリとしているわけでもないし、体感としてはあまり参考にならない。
寒い季節の好きな僕は高気温に弱く、25℃を超えると気力がなくなり、30℃以上では具合が悪くなる‥のは北海道民には多い現象。
こんなとき、全身に毛が生えた連中はどうしているか?というと、やはりぐったりしている。
ちなみに、冬にニュースでロシアの映像などが流れると多くの人が毛皮の帽子を被っているのを見かけるが、毛皮の帽子を北海道で被っている人はほとんどいない。
なぜなら暑すぎるからだ。

海水浴を楽しむ事も。

潜って石を拾ってきたな‥と思ったら抱いてみたり。

遊んでみたり。

北海道での冬の寒さは、一番寒いところでマイナス25℃強程度で、ほとんどの場所では-5℃~-20℃なのが一般的だ。
この程度の寒さでは毛皮の帽子は暑すぎて蒸れてしまい、不快で使えない。
毛皮はそれほどに優秀な防寒着として優秀、ではあるがこれを脱ぐ事ができないケモノたちの高温下での辛さは想像に難くない。
どのケモノも夏毛には生え変わっているが、保温効果が無駄に抜群‥なのを痛感しているはずだ。
暑いある日、日がな水に浸かり、涼んでいるクマが可笑しく、一方でとても豊かにも見えた。
高気温に悩まされた地域の方にはある種同情をもって、または、ある種の羨ましさをケモノの生活に感じていただけたらと思う。

徐々に満ち潮が迫る水際で寝ていて‥

「うん?」

エゾシカも浜に涼みにやってきた。

著者プロフィール

八木直哉(やぎ・なおや)

1975年北海道生まれ。
写真家。動物、魚類、鳥類、両生類、昆虫、などを撮影している。
北海道の本来の野生と人の関わりの痕跡が現在のテーマ。
愛用の機材はNikon F5 F100 FM2 D300

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