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どうぶつのくに どうぶつえんとすいぞくかん

Vol.4 実りの秋

2011.10.5

 ひんやりと冴え渡った空気が流れ、 ビビッドな色彩に彩られる、実りの秋がめぐって来た。 あるものは食べ、あるものは蓄え、あるものは死んで子孫や、その他の生き物に身を捧げ、来るべき冬と、その先の春へ向けた準備に余念がない。 ここまでの動物たちの生活は、これからも続く未来への下支えになっていて、生命の輪は、契約の更新と、約束された収穫をもたらし、更なる実りをもたらす。

水温が下がり、澄んだ水が、きらきらと流れる。

コクワの実。原始的なキウイフルーツの近縁種で、甘く香りが強い。 たわわに実った果実は、動物たちに、つかの間の安息とカロリーを与え、引き換えに種子を運んでもらう。

メノウのように輝くコクワ。落ちたものはテンやキツネ、タヌキが食べる。

ヒグマの大好きなやまぶどう、実入りが良く、クマには幸せな年になった。

干せたカラフトマスの遺骸にハエの子が湧いている。森の肥料の分解を進め、魚類や、小さな生き物のエサになる。

ホオノキの実/外観はドラゴンフルーツに似ているが、果肉はない。           中には赤く小指の先程の種が入っていて、ポキリと折るとモクレンの花に似た強い匂いが漂う。

ツリバナ/球状の実が割れ、種がぶら下がる。美しく奇妙な造形

ツリバナの木も赤く染まった。

幾多の契約の更新と、実りをもたらして来た、熊(山の神)の頭骨が並ぶ、先住民の霊送り場。 ここにも秋が訪れる。 観光用のものはリゾート地で見かけるが、今でも”本物”が山奥に存在する。 しかし、その神聖性と、山野での詳細は他言しない”本物の”杣人(そまびと)によって隠され、護られている。 不用意に獲物の場所を教えてはならない、他人に悟られるような、目立つ事をしてはいけない。 山の秘密は守られなければいけない。野外に関わるものの古来からの原則。 そして、静かに廃れていく。

陽だまりに、サクラマスが果てていた。  明暗の差がはっきりする季節に合わせ、サクラマスの色彩も黒鉄のようになる。 一生のうち、最初で最後の産卵をやりとげるための保護色。

生命の輪は回り続ける。

著者プロフィール

八木直哉(やぎ・なおや)

1975年北海道生まれ。
写真家。動物、魚類、鳥類、両生類、昆虫、などを撮影している。
北海道の本来の野生と人の関わりの痕跡が現在のテーマ。
愛用の機材はNikon F5 F100 FM2 D300

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