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Vol.52 海響館ふぐ怪談「フグの腹の中から…」

2017.8.18

夏も中盤に差しかかり、もうすぐお盆の時期ですよね。まだまだ暑苦しい夜をお過ごしの皆様に、身の毛もよだつふぐの「怪談話」をお届けします!

語り部:魚類展示課 T氏
あれは8月に入ってすぐ出来事です。
数日前まで元気よく餌を食べていたケショウフグが、突然死亡してしまうことがありました。

ケショウフグ

可愛がっていたケショウフグが死んでしまったことは悲しいですが、次にまた同じことが起こらないように原因を調べなければなりません。
フグの体に大きな外傷はなかったため、解剖して体の中を調べるため、フグの腹をハサミで切り開きました。

その瞬間、死亡後、冷蔵庫の中でまだ一日しか経っていないにもかかわらず、肉が腐ったようなにおいが解剖室に立ち込めました。
「なんだかおかしいぞ?」と思いつつ、内臓を覆う薄い膜をハサミで切り開いた時のことです。

「ドロッ」…と。

長さ約50㎝・太さは小指程もある透明なミミズのような「何か」が、大量に流れだしてきたのです。
さらに、いつもは両手にあふれるほどの大きさの肝臓が、ボロボロの手のひらサイズになってでてきました。
もしかしてこの「何か」によって肝臓が食べられてしまったのではないか、そう思いついたとき背筋がゾッとしました。

このフグの腹の中から出てきたものは、実はフグの体内に寄生する線虫と呼ばれる寄生虫の一種で、このケショウフグは体の中の寄生虫が増えすぎたことで死亡したということが分かったのです…。

ケショウフグの腹から出てきた寄生虫

…いかかでしたでしょうか?
この話に出てきた寄生虫について、おそらく世界でまだ1例しか見つかっていない極めて珍しい種類だろうとのことで、現在寄生虫の専門家の先生と調査・研究を進めています。また詳しくわかったら、皆様に紹介いたします!

著者プロフィール

笠井未来 (かさい・みく)

1991年東京生まれ。2015年から下関市立しものせき水族館「海響館」の魚類担当として働き始める。都会育ちにもかかわらず、趣味はスノーケリングで、特技は生物採集!大学では魚の繁殖生態の研究で毎日海へ潜り、魚の恋愛模様を覗き見る生活を送る。フグやカエルなど、ぽっちゃりとした生き物をこよなく愛する。

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