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Vol.60 アミメハギの産卵

2018.4.17

 皆さんこんにちは!急に暑くなったり寒くなったりがようやく落ち着きはじめ、下関でもぽかぽかとあたたかな晴れの日が続く今日この頃。いつものように水槽を見回っていると、アマモ水槽の上部に見えるパイプに、キスをするように何度も口をつけるアミメハギの姿が目につきました。「もしかして…?」と思い、パイプをじっくり見てみると…

アマモ水槽のパイプ下に付いたアミメハギの卵

 1mmもない位小さな卵が、固まりになってパイプ下にびっしりついているのが見えました!野生のアミメハギの繁殖期は初夏~秋にかけてですが、海響館のアマモ水槽では、一足先にアミメハギの繁殖が始まったようです。一般的に魚類は雄が卵を守ることが多いのですが、アミメハギは珍しく、雌が卵のお世話をします。

卵の世話をするアミメハギ雌親

 卵をつついて手入れをしたり、近づく魚を追い払ったりと、ちょこまか動くアミメハギの雌親にほっこりしていると、眼の横の眉のような黒点がチャーミングな別のアミメハギが近づいていきました。

目の横の黒点や黒い縁取りが目立つ雄のアミメハギ

 この体の縁取りや尾鰭のラインが黒い個体は、雄のアミメハギです。普段は雌と同じ薄い体色をしていますが、繁殖期になると黒いラインが目立つ婚姻色になります。また、尾ビレを大きく広げて素早く2~3回、上へ曲げるアピール行動(求愛・威嚇時に行う)を頻繁に行うようになります。この写真の雄も、アミメハギの雌親に対して懸命にアピールするものの…

尾ビレを振っている雄(左)と目もくれないアミメハギ雌(右)

 アミメハギの雌親は雄そっちのけで卵の世話を行っています。そして、この雄は卵を狙う敵だと思われたようで、雌親に追い払われてしまいました。
 卵は3~4日ほどで孵化して無くなってしまいましたが、数日するとまた同じ場所に卵と雌がいたので、もしかしたら同じアミメハギなのかもしれません。1週間置き位に現れる卵と奮闘するアミメハギを探すのが、最近の毎朝の日課であり、楽しみになっています。

水槽のアクリルガラスに産みつけていることも!

著者プロフィール

笠井未来 (かさい・みく)

1991年東京生まれ。2015年から下関市立しものせき水族館「海響館」の魚類担当として働き始める。都会育ちにもかかわらず、趣味はスノーケリングで、特技は生物採集!大学では魚の繁殖生態の研究で毎日海へ潜り、魚の恋愛模様を覗き見る生活を送る。フグやカエルなど、ぽっちゃりとした生き物をこよなく愛する。

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