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Vol.69 フグ毒にズームアップ!

2019.2.21

 皆さんこんにちは!1月~2月にかけてが一年でも一番寒い時期と言われますが、下関では1月の最高気温平均が約11.3℃と例年に比べ暖かい冬を迎えています(参考として、昨年度の最高気温平均は約8.0℃)。さて、2月といえば節分…もありますが、下関では2月9日を「ふくの日」として、イベント開催など市をあげてお祝いします。ちなみにこの「ふくの日」は1981年に下関ふく連盟によって制定された記念日だとか。
 さて、世界一のフグの展示種数を誇る海響館ではこの「ふくの日」2月9日に合わせて3階フグコーナーの「ズームアップ フグの不思議」という展示を、隔年おきにテーマを変えて更新しています(一昨年の展示更新の様子はVol.46. 2月9日はフグの日!!をご覧ください)。今年のテーマは「フグ毒」!よくお客様からも「このふぐは毒があるんですか?」と聞かれるほど、皆さんの関心が高いテーマだと思います。実は平成18年に開催した最初のズームアップでも「フグ毒」をテーマに展示を行ったのですが、それから研究が進み新たに分かったことや開発された技術など、最新のフグ毒情報も含めて解説しています。今回は、このズームアップの様子を少しだけご紹介したいと思います!

3Fフグコーナー入り口。ここからズームアップの展示が始まります。

 まず、ここでいう「フグ毒」とは、フグの仲間が持っている毒の総称です。有名なのは「テトロドトキシン(TTX)」でフグ科の多くの仲間がこの毒を持っています。そして、フグ毒はこのTTXだけでなく、他にもパリトキシン、パフトキシン、麻痺性貝毒があり、フグの種類によって持っている毒の種類が異なります。とても美味しいフグですが、どんなフグにどんな毒があるのか知らないままでは、恐ろしくて食べられませんよね?古くは縄文時代からフグを食べ続けてきた日本では、いかにフグを安全に食べるか、現在に至るまで盛んに「フグ毒」研究が行われてきました。そんなフグと日本人の関わりについてまとめた年表を展示していますが、これを見ると死と隣り合わせにも関わらずフグを食べ続けた日本人の食へのこだわりと情熱を垣間見ることができます。

フグと日本人の関わりについて、文化・研究などの観点から見た年表

 現在はフグの取り扱いに関する条例やフグ毒の検査基準が整備され、市販で出回るフグではほとんど中毒の事例が無くなりました。しかし近年、自然環境の変化により両親の種類が異なる「交雑フグ」が増えたことで、新たな問題が出てきました。それは、交雑フグは種の判別が難しい上に、有毒部位がどこにあるか分からず「身欠き」※1が出来ないという問題です(※1 フグの種類によって異なる有毒部位を除去し、可食部だけを取り分ける工程のこと)。両親の有毒部位が異なる場合、子である交雑フグにどう遺伝するのか、詳しいことはまだ分かっていませんが、筋肉が無毒であるトラフグとマフグの交雑の場合、子の筋肉も無毒であることが昨年の研究で判明しました。
 私達が安心して美味しくフグを食べられる今の環境は、たくさんの人たちの熱意や努力の上に出来ているものだということを、展示を通じて感じていただけたらと思っています。

フグ毒研究者へのインタビュー動画も必見!

著者プロフィール

笠井未来 (かさい・みく)

1991年東京生まれ。2015年から下関市立しものせき水族館「海響館」の魚類担当として働き始める。都会育ちにもかかわらず、趣味はスノーケリングで、特技は生物採集!大学では魚の繁殖生態の研究で毎日海へ潜り、魚の恋愛模様を覗き見る生活を送る。フグやカエルなど、ぽっちゃりとした生き物をこよなく愛する。

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