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Vol.62 フグと寄生虫

2018.6.13

 皆さんこんにちは!海響館では、7月7日(土)より夏季特別企画展「寄生して生きていく虫の話」を開催いたします。この企画展では、海や川などで暮らす生き物に付く寄生虫や、人に付くこともある身近な寄生虫をはじめ、様々な寄生虫について漫画で解説するなど分かりやすく紹介していきます!今回は企画展を先取りして、フグに付く寄生虫についてのお話をしたいと思います。

トラフグの鰓から何やら出ている・・・?

写真のトラフグの鰓から出ている茶色の塊。これを顕微鏡で拡大してみると・・・。

細い糸(フィラメント)で繋がった楕円形の卵がたくさん!

 実はこれ、ヘテロボツリウムというトラフグの鰓につく寄生虫の卵なんです。成虫は平たい楕円形をしており、頭部ある把握器と呼ばれる4対の固着器官で鰓を掴んで寄生します。

顕微鏡で見たヘテロボツリウム。

頭部には4対の丸い把握器がついています。

 彼らは、トラフグの鰓から血を吸って生活するため、大量に寄生されると貧血で鰓が真っ白になり、宿主となったトラフグが死んでしまう事もあります。また、1匹の成虫が1日に約450個の卵を作るため、一度水槽内で発生してしまうと、他のトラフグにも寄生されてしまいます。

産卵中のヘテロボツリウム

 トラフグがエサを食べているのに痩せてきたり、またはエサを食べなくなったりしたら、ヘテロボツリウムの寄生を疑い、エサに薬を混ぜて与えたり、水槽に薬を入れたりする駆虫を行います。このように、彼らは私たち飼育員にとってはトラフグに害を及ぼす天敵ですが、鰓の中で生活するために特化した姿形や、幾何学模様のように綺麗に繋がった卵など、とても魅力にあふれた生き物だなとも思います。
 ヘテロボツリウム以外にも、フグに付く寄生虫はまだまだ沢山います!ある日、マンボウの水槽を覗いてみると、何やらマンボウのお尻(肛門)から白い紐のようなものがでているではありませんか…!?この寄生虫について知りたい方は、次回のふく通信をお読みになるか、7月7日開催の企画展にお越しください!!

マンボウの肛門から寄生虫がこんにちは!

著者プロフィール

笠井未来 (かさい・みく)

1991年東京生まれ。2015年から下関市立しものせき水族館「海響館」の魚類担当として働き始める。都会育ちにもかかわらず、趣味はスノーケリングで、特技は生物採集!大学では魚の繁殖生態の研究で毎日海へ潜り、魚の恋愛模様を覗き見る生活を送る。フグやカエルなど、ぽっちゃりとした生き物をこよなく愛する。

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