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Vol.61 アミメハギの産卵(続)

2018.5.15

 前回(4月)の記事にて、アミメハギのメスが卵保護をしている様子についてお伝えしましたが、5月10日についに産卵の様子を観察することが出来ました!今回はその時の様子をお話ししたいと思います。
 5月10日 8時30分、アマモ水槽を覗くといつもと比べてアミメハギたちがやや活発に動き回っていました。よくよく見ていると、オスはメスに対して盛んに尾びれを上げる求愛行動を行い、メスは注水パイプについた海藻をひたすらつついている(掃除している?)ものもいれば、アマモをつつきながら広い範囲を泳ぎ回るものもいました。特にメスの中でもお腹が張ったものは、生殖孔(卵が出てくるところ)辺りが膨らんでいたので、「もしかしたらもうすぐ卵を産むかもしれないぞ!」と思い、カメラを取りに走りました。

生殖孔(赤い矢印)が膨らんでいる

 8時40分、前回紹介した注水パイプ付近のオス・メスのペアに狙いをつけて観察・撮影をはじめました。注水パイプはメスがよく産卵している場所だったのと、婚姻色(繁殖期にのみ変化するオスの体色)がはっきりと出ているオスがパイプ周辺を陣取っていたため、産卵する可能性が高いと考えたからです。

体の縁や尾びれが黒いオス(手前)とパイプについた海藻をつつくメス(奥)

 9時03分、注水パイプより少し奥の方で何尾かのアミメハギたちが集まってきた…と思った瞬間、黄色い小さな粒がぶわっと水槽内に広がりました。「産んだーーっ!!?」と叫びながら、慌てて奥にカメラのピントを合わせましたが時すでに遅し。産卵した瞬間を見ることはできたものの、残念ながら撮影することはできませんでした。…気を取り直して、産卵の様子ですが、アマモの葉の近くで6~7尾のアミメハギが集まって産卵を行っていました(一瞬だったので産卵したのが1尾だけなのか、複数いたのかは分かりませんでした)。そして、おそらく産卵したであろう1尾のメスが、口を使ってせっせとアマモの葉に卵の塊をくっつけていきました。驚くべきことに、周りでは他のアミメハギたちが産みたてほやほやの卵をパクパクと食べており、メスは周りの魚を追い払ったり卵をアマモにくっつけたりと大忙し!5分ほどかけてアマモにしっかりと卵をつけると、卵のお世話に集中しはじめました。

産卵直後の様子。中央の薄黄色の塊が卵。

口を使って卵をアマモにくっつけます

 翌朝、アマモ水槽を見に行くとアマモについた卵が無くなり、メスも離れたところにいました。産んだ卵の量に対して、アマモについた卵の量が少なかったので、卵をつける場所としては面積が狭すぎたのか、あまり良い場所ではなかったようです。
 ずっと狙っていた産卵の瞬間をはじめて見ることができてとても嬉しかった半面、カメラを構えていたにも関わらず産卵する瞬間の映像はとれなかったのが残念でなりません。次は産卵前の行動と産卵シーンの撮影を目標に、観察を続けていきたいと思います!

著者プロフィール

笠井未来 (かさい・みく)

1991年東京生まれ。2015年から下関市立しものせき水族館「海響館」の魚類担当として働き始める。都会育ちにもかかわらず、趣味はスノーケリングで、特技は生物採集!大学では魚の繁殖生態の研究で毎日海へ潜り、魚の恋愛模様を覗き見る生活を送る。フグやカエルなど、ぽっちゃりとした生き物をこよなく愛する。

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