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Vol.63 続・フグと寄生虫

2018.7.19

 前回、マンボウのお尻から謎の白い紐が出ている話をして終わりましたが、その正体は、マンボウの腸に寄生する「ショウゼントウジョウチュウ(小箭頭条虫)」という寄生虫です。頭部は矢じりの様な形をしており、腸の壁面にまさに矢のように頭部が刺さった状態で、栄養を吸収しながら生活しています。

ショウゼントウジョウチュウ(長さ約80~90cm)

ショウゼントウジョウチュウの頭部(顕微鏡写真)

 飼育していて残念ながら死んでしまったマンボウは、死亡原因を探るために解剖を行いますが、腸を開くと必ずと言っていいほど数十匹の条虫が見つかります。私は今でこそ見慣れてしまいましたが、初めて解剖に参加した時は、腸を開いた瞬間に鳥肌が立ち、思わず「うわぁ…。」と呟いてしまったものです。こんなに沢山いてマンボウは大丈夫なのだろうか?と心配にもなりますが、宿主であるマンボウが死んでしまうともちろん条虫は生きていけないため、私たちが思うよりも条虫がマンボウに与える影響は小さいのかもしれません。ちなみにこの条虫、弱ると肛門からフンと一緒に出てくるため、たまに肛門から一部が出ていたり、水槽の底に落ちていたりします。マンボウ水槽を覗いたときに水槽の底に白い紐状の物体があれば、それはこの条虫かもしれません。

白い塊がマンボウから出た条虫。この日は沢山落ちていました。

 7月7日(土)から開催の特別企画展「寄生して生きていく虫の話」では、今回紹介した「ショウゼントウジョウチュウ」を含め、実際に1匹マンボウを解剖して見つけた寄生虫4種の解説や標本の展示を行っています。他にも、魚やクジラ、私たち「ヒト」につく寄生虫の紹介などを行っていますので、「寄生虫」の世界をみなさんも覗いてみませんか?

マンボウゾーンをチラ見せ!皆様のお越しをお待ちしております!

著者プロフィール

笠井未来 (かさい・みく)

1991年東京生まれ。2015年から下関市立しものせき水族館「海響館」の魚類担当として働き始める。都会育ちにもかかわらず、趣味はスノーケリングで、特技は生物採集!大学では魚の繁殖生態の研究で毎日海へ潜り、魚の恋愛模様を覗き見る生活を送る。フグやカエルなど、ぽっちゃりとした生き物をこよなく愛する。

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